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ユーザ中心設計のすすめ(第19回)― 見る方向で出口が変わる?阪急烏丸駅の出口案内 プリント
2008/11/27 木曜日 10:23:41 JST
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本編
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先日京都に出張に行き、阪急電鉄から京都市営地下鉄に乗り換えようと烏丸駅で降りたときのことです。

ホームに降りた私は、目の前にあった案内図を見て地下鉄乗り換え口のある「西改札口」を目指して左方向へ進んでいきました。 
       rs-081127-1.jpg
              地下鉄は左? 

しかし、その方向にあったのはなぜか逆の「東改札口」。 不思議に思い、もう一度戻ってその案内図を確認すると・・・・
       rs-081127-2.jpg
             正面から見ると・・・ 

なるほど、正面から見ると左は東改札口、右は西改札口となっていました。

どうして間違えてしまったのでしょう? この案内図は確かに真正面から見ると問題ないのですが、円形の柱に設置されているため、斜め方向から見ると一番上の写真のようにまるで逆の方向を指しているように見えてしまいます。 これでは間違えても仕方ないですね。

きっとこの案内図をデザインした方は、平面上でわかりやすいように考えていたとは思うのですが、実際は丸い柱に設置されるということを想定していなかったのでしょうね。

行き先を表示する案内図なのですから、どこから見ても間違えないような配慮をして欲しいものです。

※本編部分は使いやすさ研究所<http://usability.novas.co.jp/>の使いやすさ日記(No.315 担当:佐藤)より、一部加筆修正して転載しています。
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解説
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「ユーザの利用する環境と状況を十分に把握する」

上の写真を見ると何とも見事に逆の方向を案内してくれているように見えますね。
実際、駅のホームやターミナル駅での乗り換え時など、「案内の通りに進んだつもりなのになぜだか分からないけど、違う方に行ってしまった」という経験を誰しも持っているのではないでしょうか?

さて今回の要因としては、本編にもあるように「平面に張られることしか想定していなかった(円柱に張られることを想定していなかった)」と言うことなのでしょう。もしくはこの様に見えることは分かっていても、「案内図を隅々まで見てくれるだろう」とか「次の案内図が貼ってある柱で気付くだろう」と思ったのかもしれません。しかし実際には、人間と言うのは一度確信してしまうと、それ以上注意を払わなくなる習性があります。急いでいる時などは特にこうした勘違いを起こしてしまうものです。

案内図の作成に限らず開発は通常、クライアントなり発案側から開発者(デザイナー含む)に、直接的もしくは間接的に依頼し開発されることになります。一人でも多くのユーザに勘違いを起こさせないようにするために、ここで関与する誰かがどこかで注意をしなければなりません。例えば、発注元が発注先に要件として明記していれば、防げたかもしれません。もしくは発注を受けた中間業者なりデザイナーなりが、発注元に問い合わせたり現場を確認するなりして、デザイン要件として取りまとめても良いわけです。

いずれにしても実際の現場の環境やユーザの状況に良く配慮して、ユーザの視点で設計やデザインを行なわないと、机上だけでの検討では限界があります。
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筆者プロフィール
龍淵 信

tatsuibuchi.jpg1963年生、1986年法政大学工学部建築学科卒業後、工業デザインを勉強。
1992年株式会社ノーバスに入社。2001年4月にグループ会社の株式会社ユー・アイズ・ノーバスの設立に参画。
2005年10月グループ会社である株式会社U'eyes Design(ユー・アイズ・デザイン)の執行役員を経て、2007年10月よりノーバスの経営戦略室とU'eyes Designのシニアアドバイザーを兼務。現在に至る。
携帯電話などのコンシューマ製品、公共機器、OA機器のユーザインタフェース開発およびユーザ評価・調査に数多くかかわり、特に自動車用システムは、ここ10年ほどで150ほどのプロジェクト実績を持つ。

株式会社 U'eyes Design:
http://ueyesdesign.co.jp
usereyes.gif




 
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