ユーザ中心設計のすすめ(第16回)―待たせるカーオーディオ |
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2008/10/19 日曜日 07:17:23 JST |
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本編
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先日、レンタカーを借りた時のことです。
ラジオを聞こうとして選局をしましたが、どうやら放送局の設定があっていなく、うまく受信できません。そこで、受信できる放送局を自動的にセッティングしてくれる、オートプリセット機能を使おうと思いました。
「ポチッとな。」
※ボタン押下時の受け付け音が鳴る
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「長い・・・。」
「あ、プリセットできた。」
オートプリセット機能はよく使っていたのですが、いままでこんなに待ち時間を感じることはありませんでした。よくよく見るとこのカーオーディオ、周波数が表示されたり、変化するといったことがなく、画面がずっと止まったままでした。
それがこの画面
私が普段乗っている車のカーオーディオは、オートプリセットしている最中にラジオの周波数が表示され、徐々に増加しながら、放送局と合うたびに「ピッ!」という音が出ます。一方、今回借りた車のカーオーディオは、オートプリセット中に画面の変化や音での通知は一切ありませんでした。
例えば、パソコンでは、ダウンロードや計算処理を行っている最中に「プログレスバー」という現在の進行状況を示す棒状の表示が出たり、駅の券売機では、発券作業中に「ただいま、発券中です」という音声で、どのように機能しているのかをユーザーに知らせる配慮がなされています。
同じ機能を実現していても、作動しているのかどうか、どのように機能しているのかをユーザーに知らせることで、安心感のある、もっと心地の良い「待つ」経験を提供できる機器になるのではないでしょうか。
※本編部分は使いやすさ研究所<http://usability.novas.co.jp/>の使いやすさ日記(No.421 担当:真行寺)より一部加筆修正して転載。
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解説
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「携帯電話はGUIの宝の山」
本事例は、長い時間「システムからのフィードバックが無い」ため
・システムが動作しているのかどうか、不安になる
・時間がかかりすぎてイライラする
と言ったユーザの負担が発生していると考えられます。
長い時間、画面が固定されてしまうと、ユーザはシステムの状態がまったく掴めなくなってしまいます。早くプリセットさせて選局したい時などは、反応が無い画面を見ながら、壊れた(フリーズした)のではないかとか、どれだけ時間がかかるんだろうとか、大変な負担を強いられることになります。
本編で述べているように、システムからの適切なフィードバックがあることで、不安感の解消と、イライラ感の抑止効果が期待でき、比較的うまく出来ているものも多く見受けられます。例えば、携帯電話で通信接続時やデータのダウンロード、アプリの起動時、デジタルカメラでの大量データの消去時などなど。まったく異なる機器でも少し回りを見渡すことで参考になるものがたくさんあります。
特に小さな体に機能満載の携帯電話は、良い例も悪い例も宝の山となっていますので、コンシューマ製品で小さな画面を持つGUIを開発する際には、数機種を見渡すと非常に参考になります。
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筆者プロフィール
龍淵 信
1963年生、1986年法政大学工学部建築学科卒業後、工業デザインを勉強。
1992年株式会社ノーバスに入社。2001年4月にグループ会社の株式会社ユー・アイズ・ノーバスの設立に参画。
2005年10月グループ会社である株式会社U'eyes
Design(ユー・アイズ・デザイン)の執行役員を経て、2007年10月よりノーバスの経営戦略室とU'eyes
Designのシニアアドバイザーを兼務。現在に至る。
携帯電話などのコンシューマ製品、公共機器、OA機器のユーザインタフェース開発およびユーザ評価・調査に数多くかかわり、特に自動車用システムは、ここ10年ほどで150ほどのプロジェクト実績を持つ。
株式会社
U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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