2008/09/29 月曜日 11:00:21 JST |
管理職から一般社員まで在宅勤務を奨励
時間の有効利用で仕事の効率がアップ
■導入2年目を迎えたテレワーク
オフィスパーソンの多様な働き方が注目されるなか、話題に上ることが多くなってきたのが「テレワーク」という就労形式だ。いわゆる在宅勤務のことで、自宅を仕事場にするため無駄な通勤時間がなくなり、働く時間も自由に決められ、効率よく仕事をこなせてプライベートの時間も確保しやすくなる。
このテレワークを率先して導入しているのが、情報処理ならびにシステム開発を行う富士通ワイエフシーだ。
同社がテレワークを導入したのは2年前の10月。そもそもの動機は女性社員により働きやすい環境を作ることだった。
社長の宮浦完次氏はこう語る。
「オフィスでの就労は時間が拘束され、育児と仕事と両立させたい女性には不都合なことが多い。さらに本格的な高齢化社会を迎えるこれからは、肉親の世話をする女性も増えてくる。これをなんとか解決したかった」
■女性社員だけでなく男性社員にも喜ばれる
ただ、いくらテレワークが優れた働き方だとわかっていても、まだ一般には馴染みがない。最初は希望する社員もなかなか現れず、なかば社長のトップダウンでの導入だったという。ところが、テレワークが社内に定着し始めると、意外なことに女性社員だけでなく男性社員にも喜ばれた。その理由は「奥さんと家事が分担でき、また子育てにも積極的に関われる」というものだった。
導入当初は上司や周囲の目が気になって、なかなか新しい就労形式に手を上げられない社員もいたという。しかし会社が積極的にテレワークを勧めた結果、管理職のなかからも参加者が現れ、職制の壁も乗り越えるようになった。
開始して1年後、社内でアンケートを取るとその経験者の9割が「働き方を変えてよかった」と回答した。その後、希望者もぞくぞくと増え、現在テレワーカーは54名。これは在宅勤務の対象となる勤続3年以上の社員の2割にあたり、しかも女性よりも男性の方が多い。
■社内のコミュニケーションも向上
ただ、このような働き方で誰もが心配するのが上司や同僚とのコミュニケーションだ。仕事には顔をつき合わせて意思の疎通をはかることも大切だ。仕事に報告、連絡、相談という”ホウレンソウ”は欠かせない。一日中顔を合わせないテレワークで支障はおきないのだろうか。
宮浦氏は「最初は意思の疎通を心配したが、結果的にかえって仕事の効率が上がった」と語る。同社のテレワークは週に2回程度出社する仕組みになっており、上司も部下もその機会を逃すともう顔を合わせての打ち合わせができない。このため出社した際の打ち合わせは必然的に密度が濃くなる。上司はスケジュール通りに無理なく仕事をこなすにはどうすればよいか考え、部下は疑問点や問題点を先送りせずその場で解決しようとする。これで業務の流れと仕事の役割分担がはっきりし、仕事の効率がこれまでより上がるようになった。
また、テレワークはコミュニケ―ションの形も変えた。互いの連絡はおもにメールで行うので、言葉ではなく文字で意思を伝えなければならない。すると、よく考えながらメールを書くようになるので無用な感情は抑えられ、円滑なコミュニケーションが図れるようになったという。
■「会社家族見学会」もスタートさせる
宮浦氏は「対象社員の100%がテレワーカーになるのが理想」とし、将来はテレビ会議システムなどの導入も検討してみたいとする。ITの力をフル活用することで、これまでになく社員が働きやすい職場が創出するのだろう。
一方、同社では「家族の支えがあってこそ十分な仕事ができる」との考えで年一回、子どもが夏休みを迎える8月に「家族による会社見学会」を開いている。これは家族を会社に招き、働いている職場を見せることで、仕事に対する理解を深めてもらおうというのが狙いだ。
常に社員の働きやすい職場環境を考えることが同社の成長の原動力となっているに違いない。
(株)富士通ワイエフシー:http://jp.fujitsu.com/group/yfc/
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