2008/06/04 水曜日 21:39:01 JST |
資金調達から販路開拓までを具体化へ
注目を浴びるIDECの起業家支援
■19年度から選考方法を一新
起業家の支援を目的に、平成15年度からスタートした「横浜ビジネスグランプリ」(主催:横浜企業経営支援財団=IDEC、共催:横浜市)が話題を集めている。19年度から選考方法を一新し、審査員にベンチャー支援に積極的な著名起業家などを加え、ビジネスマッチングを直接行うことでより起業家のバックアップを強化したからだ。
この選考方法が新年度も踏襲されるかどうかは未定だが、起業家への支援強化は続くものとみられている。じつは、昨年度IDECは3大メガバンク及び地元金融機関5行と業務提携を締結した。この提携により企業支援のための金融ネットワークが誕生しており、これらの金融機関とビジネスグランプリとの関係が注目できるのだ。場合によっては、これが大きなバックボーンになる可能性も否定できないのである。
今年で6年目を迎えるビジネスグランプリだが、その狙いは「起業家を支援し横浜市を企業にとって魅力のある都市にすること」(IDEC、吉田正博常務理事)だ。
このため、この事業は14年度以前はコンペ方式をとらず、横浜で創業を考える人たちから広くビジネスプランを募集し、その要望に応じて融資の受け方や販路の開拓、あるいは経営へのアドバイスなどを中心に支援をおこなっていた。
■グランプリにすることでより積極的に関われる
しかし、この方式では事業プランを持ち込まれるのを待っていなければならず、また一般にもこの支援事業が広く知られているとは言いがたかった。そこで、起業家の相談窓口はそのままにして、これ以外でもより積極的に企業の創業に関われるように考えたのが、ビジネスグランプリの実施だったのである。
コンペ形式にして横浜市外からも広く募集し、そこから新規性に富んで実現性の高い計画を選んで表彰すれば、より多くのビジネスプランを集められ、また応募者にもメリットがある。なによりイベントとして行うことで、一般にも関心を持ってもらえるという相乗効果も期待できた。
■創業のお手伝いがしたい
経営支援部経営支援課の小田部耕一課長は「創業したい人は個人の方が多い。そのため入手できる情報も偏りがちだ。グランプリの応募をきっかけにIDECの支援事業を知ってもらえば、事業化プランをブラッシュアップし創業のお手伝いができる」とその意義を語る。
このビジネスグランプリも知名度を高めるため、はじめは年2~3回開催してきたが目的を達成したことで19年度から年1回となった。
総務部経営戦略室の鴇田実氏は選考方法について「これまでは、どちらかというとプランそのものの評価まででとどまっていたと思う。そこで19年度はもう一歩踏み込み、実現化のための具体的支援策を新しくそこに加えた」と、説明する。
つまり、審査員にベンチャー支援を行う著名起業家などを招聘することにより、資金の調達や販路の開拓などについて審査員とのビジネスマッチングの場を提供したのである。
たとえば、19年度のグランプリの最終選考では、予選を勝ち残った7名のビジネスプランに対して、審査員が「資金提供(検討)」「販売協力」「業務提携」「オフィススペース提供」の札をそれぞれ上げて、その優劣を評価するという方法をとった。
これにより、たとえグランプリを受賞できなくともこのファイナリスト7名は、グランプリ終了後に直接審査員と交渉することができるのである。
(つづく)
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