ユーザ中心設計のすすめ(第1回)-携帯電話のwebコンテンツ事例 |
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2008/03/31 月曜日 10:34:54 JST |
第1回は、携帯電話のwebコンテンツ利用に関する事例をご紹介します。
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本編
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あるwebコンテンツを利用している時に妙な画面に出くわしました。この画面、何か変だと思いませんか?
そう、「戻る」が画面上に三つも存在しているのですよ。こんなに「戻る」があったら、どれを使ったらいいのか迷ってしまいますね。どうしてこんなことになっているのでしょう…
まず、(1)のエリアの「戻る」ですが、サイトの項目であることはおわかりですね。問題は (2)のエリアにある、「戻る」という二つのキー表示です。このように画面下部に表示されるキーは、「ソフトキー」や「ファンクションキー」と呼ばれ、携帯の画面に表示された項目を選択したり、機能を呼び出したりするために使います。 上記の画面では、
左側のキー:「履歴で前の画面に戻る」
中央のキー:「選択した項目を決定する」
右側のキー:「ブラウザメニューを呼び出す」
という機能が割り当てられています。実はこの中央のキー表示、画面上で選択した項目の言葉が、反映されているのです。よって(1)のエリアで、「承諾する」という項目を選ぶと、以下のような表示に変わります。
こうしてみるとそれほどおかしい感じはしませんね。けれども、このサイトでは左側のソフトキーが「戻るキー」として存在したため、画面上の「戻る」項目を選択すると「戻る」が三つも現れてしまうのですねぇ・・・
そもそも、この中央のソフトキーは「項目を決定するキー」なので、「OK」や「決定」でも十分だと思います。そうは言っても、選択した項目が決定するキーに反映されれば、違う項目を誤って選ばないようにユーザも気をつけることができますね。ただし、サイト構築者がサイトをデザインする際に、どのようにソフトキーで操作させるかということを十分に検討する必要があります。さもなければ、今回の例のようにユーザを困惑させてしまうことになりますからね。
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解説
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まるで冗談のような仕様だと感じられる方も多いのではないでしょうか?
しかしこれは合成写真ではなく、商品やサービスとして流通したものです。
本件は、事業電話事業者側の要件、携帯機器端末開発者側の仕様、webコンテンツ提供者側の仕様などが、絡んだ結果と考えられます。各担当者としては、気付かなかった、どうしようもなかったということかもしれませんが、ユーザがこうした場面に遭遇してしまうことは事実です。特にこうしたサービスの契約を進めているユーザは、慎重な操作を強いられている可能性が高く、違いの分からない同じようなボタンがたくさん出て混乱させてしまうことはできるだけ避けるべきです。
多くのステークホルダー(利害関係者)が存在する開発は、全体のプロセスを管理するところが必要になります。ユーザへの最終責任をどこが持ち管理していくのか?ユーザとの信頼関係を築き、サービスの利用者を減らさないためにも、こうしたユーザビリティの一つ一つを向上させていくことは大事な一歩となります。
※本編部分は使いやすさ研究所<http://usability.novas.co.jp/>の使いやすさ日記(No.231)より一部加筆修正して転載。
過去記事
ユーザ中心設計のすすめ(序論)ーこれからの開発力を身につける
筆者プロフィール
龍淵 信
1963年生、1986年法政大学工学部建築学科卒業後、工業デザインを勉強。
1992年株式会社ノーバスに入社。2001年4月にグループ会社の株式会社ユー・アイズ・ノーバスの設立に参画。
2005年10月グループ会社である株式会社U'eyes
Design(ユー・アイズ・デザイン)の執行役員を経て、2007年10月よりノーバスの経営戦略室とU'eyes
Designのシニアアドバイザーを兼務。現在に至る。
携帯電話などのコンシューマ製品、公共機器、OA機器のユーザインタフェース開発およびユーザ評価・調査に数多くかかわり、特に自動車用システムは、ここ10年ほどで150ほどのプロジェクト実績を持つ。
株式会社
U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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