インタビュー:学校法人 岩崎学園 情報科学専門学校 岩崎文裕副校長 |
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2008/01/16 水曜日 11:20:28 JST |
横浜の企業はITの魅力をもっと語ってほしい
~世界に通用する息の長い技術者を育てる~
■学生の目的意識は二極化
この数年、学生の理工系離れを心配する声が多い。そんな中でIT産業の人材の育成に力を注ぎ、その魅力を若い世代に伝えようと努力しているのが岩崎学園だ。いちはやくIT社会の到来を予測し、1983年に県下初の情報系専門学校を開校、これまで1万人を超える卒業生をIT関連業界に送り出してきた。さらに、2004年には全国初の情報セキュリティの専門大学院、「情報セキュリティ大学院大学」も開設した。
■ITのかっこよさだけでなく、仕事の本当のやりがいを伝える
開校から25年経った今、入学する若者たちの意識はどう変わってきているのだろうか。岩崎文裕副校長は最近の学生気質をこう語る。
「コンピューターが世の中に普及し始めた頃は、“この道で一流になりたい”というような、どちらかというと自分の将来に明確なビジョンを持っている学生が多かった。しかし最近は“なんとなく仕事に役立ちそうだから”と考える学生も多く、その目的意識は二極化している」
学園が第1期生を迎え入れた当時、パソコンはまだマイコンと呼ばれ、8ビットの時代が始まったばかりである。オフィスや家庭でコンピューターの存在はまだ珍しく、その技術者は職業としても花形だった。
しかし、その後パソコンをはじめとするIT機器が急速に普及すると、もはやコンピューターは仕事や日常生活を送る上で珍しくはなくなり、それとともに学生の意識も変化してきたようだ。
さらに、学生のIT業界を見る目も昔とは違ってきたという。「いまではSEというと、どうしても“3K”という負のイメージがつきまとっており、仕事に“本当のやりがい”を感じられるか不安を抱いている」とする。
■目に見える成果を与えることが、やりがいにつながる
また、業界に対する知識も学生は「すぐにゲームやコンテンツの制作などを思い浮かべる」そうだ。このため、ハードについてもソフトについても「本当のおもしろさがわかるのは就職後」と指摘し、卒業生から「嫌々やっていた仕事が最近おもしろくなり、今は夢中でやっている」とよく聞かされるという。
「パソコンがあまりにも日常のなかに溶け込んでしまったため、ITの持つ本来の面白さが見えにくくなっている。それをどう学生に伝えるのかが、私たちの使命のひとつだろう」そう岩崎氏は語る。これを学園では、モノづくりを通して教えようとしている。
たとえば、実際にパソコンを動かすためにプログラミングさせたり、あるいはチームでひとつのシステムを構築させたりするなど、結果が形として残るような教育を行っている。
■インターンは秋に受け入れて欲しい
また、企業インターンも積極的に取り入れているのも特徴だ。現在は、県の観光協会や、横須賀商工会議所のホームページのコンテンツ制作など、年間にすると延べ40社あまりにインターンの学生を送っている。今後はさらに案件を増やす計画だという。
ただ、このインターン制度にはひとつの課題がある。それは、企業側の受け入れ時期だ。専門学校生の就職活動は3~4月から始まる。そこで、前年の11月頃からインターンを受け入れてもらいたいのだが、企業はどちらかといえば4~7月に受け入れたがる。
これは、大学生の就職活動に合わせているのが理由のようで、この時期のギャップさえなければ、よりもっと多くの学生をインターンにすることができるため「企業側にとっても優秀な人材を確保するチャンスにもつなげられるはずだ」とする。
■新横浜の魅力を学生は知らない
さらに、インターン先の企業に対しては「インターンシップを行う際は、学生に仕事を与えるだけでなく、結果の確認とそれに対する評価をこころがけている。企業の担当の方にも “これを伝えたい”というテーマを意識し、指導にあたっていただければ、それが学生にとって、その企業の魅力となり、また仕事に対する興味にもつながる」という。つまり、人材をともに育てようという視点こそが必要のようだ。
岩崎学園の学生は県内からの通学が多いが、就職先は東京など県外の企業を選ぶことも多い。横浜や新横浜は国内外のIT関連産業が集積しており、いわば日本版シリコンバーレーのような地域なのだが、残念ながら、これがいまひとつ学生には伝わってはいないという。
■IT企業はもっと夢を語るべき
「やりたい仕事を存分にやれる魅力のある企業が多いが、それを知っている学生は意外と少ない。求人を通じて企業の情報はわかるのだろうが、それだけでは十分ではないのかもしれない」と岩崎氏は考える。
たとえば、学生が将来にわたり技術者として世界的な視野で仕事をしたい時、どの企業がどんな技術を持っていて、それは世界的に見てどう評価されているのか、またこの先その企業が、どのような目標を持って望んでいるのかがわかりにくいというのである。
特に、IT業界は売上規模や従業員数などで、その実力を測り切れない企業も多い。少人数でも多くの利益を上げていたり、特定分野で世界に通用する技術を持っていたりすることも決して珍しくはない。おそらく、IT関連の技術者をめざす学生にとって、これほどおもしろいエリアはないはずである。しかし、それが学生に伝わっていないと岩崎氏は指摘する。
■文章を書かせ論理的思考を養う
一方、学園は企業からの要望も受け、情報科学の基礎を習得させるだけでなく、授業を通して文章作成能力の育成にも力を入れている。これは文章を書くことで、論理的な考え方を身につけさせるためだ。論理的に発想できればコミュニケーション能力も向上する。息の長いスペシャリストになるためには「専門知識だけでなく、人間的にも豊かでなければならない」とする。学園は情報科学の教育のみならず、「人間教育」もまた志しているのだろう。
岩崎学園:http://www.iwasaki.ac.jp/
情報科学専門学校(横浜西口校):http://isc.iwasaki.ac.jp/
情報科学専門学校新横浜校 :http://iscs.iwasaki.ac.jp/
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