先進企業のCSR(第43回)-神情協の女性活躍委員会 |
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2011/10/27 木曜日 20:09:52 JST |
家庭と仕事を両立し、キャリアップを目指す
働く女性にセミナーやサイト、表彰で支援
技術分野で働く女性の進出が多いIT業界。しかし、企業には男性社員のほうがまだまだ多い。当然ながら役職への昇格も男性の方が有利とされる。そんななか神奈川県のIT業界では「女性活躍委員会」を設置し、働く女性を支援する。
■もっと女性は活躍すべき
神奈川県情報サービス産業協会(神情協)の畠山笑美子常務理事(女性活躍委員会委員長、㈱アプリコット社長)は「世界的に見ても日本の働く女性は、役職に就く機会が少ない。もっと女性は活躍すべき。経営者は女性社員をもっと活用し、女性社員はよりキャリアアップをめざしてもらいたい。そのためにIT業界に働きやすい職場環境を作りたい」と語る。技術職が多いとはいえ、女性は人事考課で寿退社を前提に考えられがちで、経営者も男性社員に目を向けやすい。その意識を少しでも変えたいという思いがある。
■活躍女性に表彰制度
神情協の女性活躍委員会の始まりは、いまから10年前の平成14年。女性のキャリアアップを応援しようと、女性を中心とした分科会(キャリアレディース会)が設置され、それが平成17年に同委員会となった。当初から委員長を努める畠山氏は、自身の経験も踏まえて女性が働き続けるにはどうすればいいか、家庭と仕事を両立させるにはどうすればいいか、さらにキャリアへのモチベーションをあげるには、と考えた。
そこで生まれたのがベスト・ワーキング・ウーマン表彰制度や、ネットで情報発信するサイト「IT@WOMAN」。それに女性活躍実態調査、セミナー、交流会だ。なかでもベスト・ワーキング・ウーマン表彰制度は今年で5回を迎える。会員企業で5年以上勤務した女性社員を対象とし、①常にキャリアアップし会社に貢献した人、②子育てをしながら仕事を続けている人、③リーダーシップに優れ今後ますますの活躍が期待できる人、のいずれかに当てはまる人を選ぶ。経営者が職場から2名を推薦し、選考委員会でその年のベスト・ワーキング・ウーマン4賞を決める。表彰は総会で行われる。4賞は貢献賞、キャリアアップ賞、リーダーシップ賞、ワーキングマザー賞。第5回となる23年度は22名が表彰された。
■情報サイト「IT@WOMAN」
一方、IT@WOMANは働く女性がIT業界だからこそ抱える問題点も含め「迷ったとき、悩んだとき、自らの手でそれを切り拓き、決断する時の手助けになるサイト」を目指す。交流の場も考慮し、情報を通じて「仲間」を感じてもらう。そして男性には女性への理解を深めてもらうことも狙う。サイトの内容は、ベスト・ワーキング・ウーマン表彰の受賞者インタビューをはじめ、「キラメキカンパニー」として、女性が活躍する企業のトップインタビューも毎月掲載している。
また、「女性活躍実態調査」は年に1回実施している調査。統計から女性を取り巻く環境や制度の整備状況を明らかにし、番外編として女性社員の生の声も紹介する。このほか委員会ではセミナーで介護をテーマにするなど、家庭と仕事を両立させるための情報も提供する。最近では妻を理解しようと男性社員の出席も増えてきているという。
■女性社員の採用率が向上
こうした活動成果は少しずつだが、着実に上がっている。「女性社員の採用率も以前より高くなった。キャリアアップを目指す女性社員も増えたと聞く。経営者の意識が変わってきたことが大きな理由だろう」と畠山氏は指摘する。
SEの手がけるシステムの構築には緻密さや繊細さが必要で、また社内外のコミュニケーションも大切な要素とされる。そのいずれも女性に向いた業務であり、男性と共に活躍できる場だということを改めて認識したい。
(取材2011年10月12日)
一般社団法人神奈川県情報サービス産業協会:http://www.kia.or.jp/index.php
IT@WOMAN: http://it-woman.jp
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