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レポート:VMCYの創設10年記念セミナー プリント
2011/10/08 土曜日 07:09:48 JST

「年内は持ち直し局面続く」
県経済の情勢を日銀支店長が講演

NPO法人ヴイエムシイ(VMCY:横浜市中区)は9月28日、第86回ハーバークラブ定期講演会を創設10周年記念セミナーとし、日本銀行横浜支店の山田泰弘支店長を講師として招いて「最近の神奈川県経済の情勢について」をテーマに講演を行なった。
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■震災前の水準に戻る
セミナーで山田氏は、現在の経済状況を読み解くポイントは3つあるとした。1つは、東日本大震災による経済の影響が持ち直し局面にあること。2つめは、部品・素材などの供給の回復で輸出が戻り、復興需要も生まれること。ただし、為替の動きと、海外経済の動向には注視が必要。3つめは、全国平均と比べ県の経済は持ち直し度が高いこと。
県の生産は大きなウエイトを占める自動車が震災前に戻っており、また素材関連もスマートフォン向けなどの需要が堅調で、さらに高精度の工作機械も輸出が活発となっているという。
設備投資は、これまで抑制されてきたことに加え、今後の稼働率上昇を見込んでいることから製造業、非製造業ともに3年ぶりの増加となりそう。また震災の影響で先送りしていた投資を実行に移す動きも見られそうだ。

■高額商品に個人消費
県内の個人消費については、大型小売店で夏場の電力使用制限を受けたクールビズなどの需要が鈍化しているものの、高額商品に需要がうかがわれる。乗用車は震災の影響による供給上の制約が緩和しつつあり持ち直し傾向にあるとした。
公共工事請負額は大口工事が少なく5ヶ月ぶりに前年を下回ったものの、全体として横ばい圏内の動きで、住宅投資は武蔵小杉など、再開発エリアの分譲および賃貸マンションを中心に増加基調が続いているという。

■海外の経済動向を注視
今後の経済情勢の判断ポイントは5つ。①為替要因による影響、②海外経済の動向、③復興需要の動向、④節電など新規需要の一服感、⑤雇用・所得環境。
とくに注視が必要なのは為替と海外経済の動向。為替要因は国際資本市場の動揺が懸念されるなか、円高による影響が心配される。また海外経済動向は、欧州の財政危機、米国の個人消費の低迷、新興国のインフレ懸念による経済の減速がある。

■活発な企業活動
今後の県の経済予測は「持ち直しの状態が年内継続するのではないか」とする。その理由は、①震災で落ち込んだ海外のシェアを回復するための活発な企業活動が続く、②企業の為替予約が秋頃まで効いている、③自動車や工作機械の輸出が活発、の3点。
また長期的な視点で県の経済を考えると、企業は既存の市場だけでなく、得意の技術を生かすことで、新たな市場開拓を行い成長させることが新しい力となるのではないか、と個人的な感想も含めセミナーを締めくくった。
                          (取材2011年9月28日)
NPO法人ヴイエムシイ:http://www.vmcy.com/

 
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