横浜産業新聞
larger smaller reset larger
Home arrow 特集/レポート arrow インタビュー:情報サービス産業とは①-ジスクソフト㈱代表取締役 冨澤清氏

注目記事

先進企業のCSR


広域産学連携


100年企業の条件


MH_cornor


SP_cornor

RSS配信

インタビュー:情報サービス産業とは①-ジスクソフト㈱代表取締役 冨澤清氏 プリント
2011/09/01 木曜日 17:12:01 JST


成長続ける売上高21兆5千億円の巨大産業
ソフト開発を中心に需要は世界へ広がる

ts-110901-1.jpg既報のとおり、神奈川県情報サービス産業協会は県内の10大学に講師を派遣し、業界の将来性について語る「SE(システムエンジニア)講座」を開催している。テーマは毎回さまざまだが、いずれも学生に熱く訴えかける内容だ。同講座を踏まえ、市の主要産業のひとつである情報サービス産業について、2回にわたりインタビューを掲載する。
第1回はSE講座で講師を務めた同協会副会長で、ジスクソフト社長の冨澤清氏に業界の特長について話を聞いた。

――冨澤氏がIT業界に入った1970年代、ソフトウェアはようやくその価値を認められ始めた頃だったという。しかし、その後コンピュータは長足の進歩をとげ、今ではITと呼ばれ社会に不可欠な存在となった。成長をつづける情報サービス産業界の現状と将来はどのようなものか、豊富なデータをもとに同氏はその実像を語る。

■モノ同士が通信する時代
「Internet of Things(モノのインターネット)という言葉をご存知でしょうか。これまでインターネットというと、私たち人間がパソコンを操作し、さまざまな情報を受発信することで生活に役立ててきました。ところが、これから始まろうとしているInternet of Things文字通りモノ同士が通信し合って必要な情報を交換し合う時代です。たとえば走行中の自動車同士で情報交換し合ったらどうなるでしょう。おそらく、高度な交通システムができるのではないでしょうか。家電製品ならリモコンに触れることなく快適な室温設定や、何を在庫しているのか扉を開けずとも冷蔵庫が教えてくれるかもしれません。
思い返せば、私が入社したのは社長と先輩二人だけのソフト開発の会社でした。その後、時代とともに成長し企業の分社化で41年間の社歴の中で26年間社長を務めることになりました。当時とはまさに覚醒の感があります。あのころ誰がいまのIT社会の姿を考えたでしょうか。まるで夢物語が現実の世界になったようです。しかも、この流れはさらなるスピードで進んでおり、その中心となっているのが情報サービス産業なのです。ぜひこの業界に関心を持っていただきたいと思います」

■"人"を大切にする頭脳集約型の産業
――時代の寵児とも呼ばれるIT業界だが、では情報サービス産業界の現状とはどのようなものなのだろう。冨澤氏は業種にわけて国内の状況を説明する。

「情報サービス産業は大きく①ソフトウエアの開発業、②情報処理・提供サービス業、③インターネットの付随サービス業に分けられます。付随サービスのなかにはセキュリティサービスや、課金決済代行業務なども含まれます。まさにITの中核を担っているわけです。それだけに業界の総売上高は全体で21兆5千億円(09年)。過去9年間ほぼ毎年成長を続けています。従業者数も現在(同)96万人でやはり拡大傾向を続けています。
一人当たりの売り上げに換算すれば2200万円。成長が見込まれるこれだけの規模の産業は現在、他にあまり例がないのではないでしょうか。それも頭脳集約型の産業ですから各社とも"人"を大切にしているのも特徴です。
では、総売上高を業務種類別に見てみましょう。これで業界の現状も見えてきます。全体の53%を占めているのが受注ソフトウェア開発です。このほか情報処理サービス8%、システム管理の運営受託8%、インターネットの付随サービス7%などとなっています」

■得意先は製造業と金融・保険で4割
――総売上高の半分を占めるという受注ソフトウェア開発。では国内のどの産業がIT化を求めているのだろう。

「業界各社の09年の契約先を見てみましょう。目立って多いのが製造業と金融・保険業です。ともに2割近くを占め両者でほぼ40%。IT投資が必要なのか、IT化せざるを得ないのかいずれにせよ活発です。次に多いのが情報サービスの同業者です。これが全体の19%となっており、元請けと下請の関係が強いことを物語っているようです。このほか流通業の卸売や小売業は7%、公務7%となっています」

■健保・年金の充実が県内企業の特徴
――県内の情報サービス産業の状況はどうなのだろうか。話から意外なこともわかってきた。

「全国の数値や県別の動向、それに国内比率から推測すると。県内の情報サービス業は約1500社、総売上高は1兆7千億円。従業者数約8万人です。なお、私が副会長を務めている神奈川県情報サービス産業協会は正会員276社、社員数5万3千人です。これほどの規模を持つ同業者団体は東京を除いて他県にありません、このため県には業界独自の健康保険組合と厚生年金基金が完備されています。ITの世界で働きやすいだけでなく、福利厚生が充実していることもわかると思います」

――ソフト開発は海外での開発も多と聞く。最後に海外の動向についても紹介した。

「ある調査によりますと、国内のソフト開発会社が今後展開を検討している国は、中国、ベトナム、インド、韓国、フィリピンなどです。"やはり中国かあ、GDPの伸びも凄いし"と思うかもしれません。たしかに調査した事業者の45%が中国をあげています。
ところが、これも過去5年間の推移でみると、中国は減少傾向にありベトナムが急増しています。またIT大国インドも減少しており、それに代わってさまざま国の名前があがるようになりました。これは需要が世界に広がり、海外展開の理由もオフショアと呼ばれる外注だけでなく、その国のIT需要の吸収を目的としていることを意味しています。
これからIT業界をめざす若い人は、ぜひグローバルな視点を大切にしてもらいたいとおもいます」
                             (取材2011年7月6日)


ジスクソフト(株):http://www.jisc.co.jp/

 
< 前へ   次へ >

支援企業・団体

連載/コラム

広告主募集

 
ホーム  |  スタッフ募集
Copyright 2004-2007 横浜産業新聞 - 横浜における情報産業の情報発信「ハマビズ」 - All rights reserved.
横浜産業新聞に掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権は横浜産業新聞またはその情報提供者に属します。