2011/08/24 水曜日 15:39:58 JST |
やさしい目線を大切に
リサイクルで地域に貢献
■廃棄物処理の総合商社
「創業60年。一台のリヤカーから始め、地域とともに当社は成長した」と、武松商事(中区山下町)の金森和哉常務は語る。廃棄物処理業としてリサイクルから引っ越しまで手掛ける市内でも屈指の事業者だ。従業員はグループ全体で280名を数え、取引先も市内5000社、全体で8000社の規模。
広報企画室の篠田恭平氏は「当社はリサイクル工場を持ち収集運搬からコンサルティングまで行う、いわば廃棄物処理の総合商社」とPRする。幅広い事業内容は消費者のニーズをより広く吸収していることの証だろう。
CSRは、アウトサイダーと一線を画し企業イメージ向上を図ろうとコンプライアンスと地域のボランティアに力を注ぐ。環境マネジメントもエコアクション21を取得し、また横浜FCのエコパートナーとしても活動する。今年は市の横浜型地域貢献企業にも認定された。
(写真:左から篠田恭平氏、金森和哉氏)
■街区を30人で清掃
認定企業をめざした理由のひとつは「企業PR」だという。顧客に親しまれれば事業にもプラス効果が働く。たとえば、5年前から商店街の清掃活動を実践している。顧客店舗だけでなく、街区全体をユニフォーム姿の従業員が20~30人まとまって一勢に掃除する。こうした清掃活動を毎月1回のペースで実施する。またエコ商店街と呼ばれる伊勢佐木町や、たまプラーザでイベントが開かれると、ボランティアでリサイクルの啓もう活動に参加し賞品付きのエコクイズなどで会場を盛り上げる。同社の資源リサイクルの工場も見学可能で、要望があれば市内の学校に環境問題の出前セミナーも行うという。
■街にやさしい目線で
認定のもう一つの狙いは従業員の意識改革。横浜地域越貢献企業の申請はトップの判断だったが、今後の活動をとおして「まず管理職の意識を高めたい」と金森氏は期待する。すでにエコドライブなどを実践しているが「横浜で生まれた会社だから、もっと街に対してやさしい目線を自主的に育てたい」と強調する。一例をあげるなら、高齢化社会を迎えて日常のゴミ出しに苦労するお年寄りは多い。これを地域で取り組み集団回収で対応できないか、などの考えもある。
■リサイクル商品を増やす
一方、今後計画するのがリサイクル製品を増強だ。古紙であればトイレットペーパーにしてリサイクルの大切さを訴える。「生ごみを飼料化して、自社養豚場で約800頭の豚に給餌している。成長した豚は食用として消費者の元に戻る。また、養豚場で堆肥も作っている。これに限らず、廃棄物の循環を滞りなく進めるリサイクル製品の開発は重要」と金森氏。
商店街の美化のために配るゴミ回収用のポリバケツもじつはリサイクル製品。すべて事業活動の一環として行われているものの「環境問題を身近に感じてもらうことが大切」(金森氏)という。東日本大震災の復興で同社は義援金だけでなく震災ボランティアも派遣している。6月から4名18組で3日間社員が被災地でボランティアをおこない、南三陸町にある震災避難所の要請で瓦礫の撤去に特殊車両も派遣した。環境を大切にする同社の活躍が注目される。
(取材2011年8月10日)
(取材協力:横浜市/横浜企業経営支援財団/他)
武松商事㈱:http://www.takematsu.co.jp/
(横浜型地域貢献企業認定)
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