環境保護で地域の輪を広げたい
屋上で養蜂し地元産の蜂蜜も
■エココロミ・プロジェクト
建設業は地域社会に育まれてこそ成長する――。そう語るのは総合建設業のキクシマ(港南区港南台)の菊嶋秀生社長。先代を引き継ぎ、デザイナー住宅など注文住宅を売り上げの柱に育てあげた2代目社長だ。今年で創業46年。建設業の若手の会から建設業協会の委員長にいたるまで、これまでさまざまな業界団体の活動を続けるうちに「地域社会と共生することの重要性を強く意識するようになった」と同氏は振り返る。
なかでも地域貢献は「会社の理念と姿勢を社員や顧客、そして地域社会に伝える大きな力を持っている」と考える。そこで総合建設業として技術のアピールに終始するだけでなく、「地域と密接にかかわることで、顧客と同じ方向を向く企業になりたい」とする。
その一環として2010年からスタートさせたのが環境保護を中心とする「エココロミ(エコの試み)・プロジェクト」だ。
おもな活動は①自然の恵みを地域で分かち合う「養蜂」、②生ごみを資源とするたい肥で野菜を栽培する「ヤサイクル」、③環境共生住宅の提案、などである。
■生ごみはたい肥にする
養蜂は自社の屋上でミツバチを飼育して蜂蜜を採取するもので、港南台産として地元商店とオリジナルスイーツも開発した。もともとは、世界的なセイヨウミツバチの激減が養蜂の理由だが、「地元の蜂蜜でオリジナルブランドを創れば、商店街の活性化につながり、食べてもらえば環境にも関心が深まる」と強調する
。
生ごみのたい肥は、同社の社員がリサイクルプラントを持ち込み設置した。集めるのは地域の幼稚園から出る生ごみ。リサイクルしたたい肥は、契約農家に納入して有機野菜の栽培に役立て、幼稚園はその農家でイモ掘りなどの行事を行い、自然との触れ合いを教える。さらに、収穫した野菜は「エコ野菜市」として地元で販売会も実施する。
■ライフスタイルを提案
3本柱で展開するエココロミ・プロジェクトだが、一番の狙いは、地域の活性化や環境保護活動に共感した個人や企業が、プロジェクトに参加することだ。「地域の輪が環境保護で広がればいい」という。
ところで、これらの活動のきっかけとなったのは、国の地域活性化事業だった。じつは、同氏が特別委員長を務める建設業協会は、2008年に商店街総連合会と市の3者で『地域活性化推進事業』を計画した。それが国交省の『建設業と地域の元気回復助成事業』に選ばれ、大倉山商店街とともに養蜂や空き店舗活用などを行ったのだ。これを自社の地域貢献活動にも活かせないかと考えたのが、そもそもの始まり。
「これからの住まいは、地域の環境の豊かさや住民同士のつながりを実感できることが大切」と注文住宅を手掛ける企業の視点もそこには生きる。環境保護を中心としたライフスタイルをビジネスでも地位貢献でも提案したいとし、今後も全社をあげて地域社会の共感を呼べる活動を続けたいという。
(取材2011年6月23日)
(取材協力:横浜市/横浜企業経営支援財団/他)
㈱キクシマhttp://www.kikushima.co.jp/
(横浜型地域貢献企業認定)
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