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レポート-横浜地中熱研究会① プリント
2011/05/29 日曜日 15:29:27 JST

地中熱にビジネスチャンス
国の新エネ政策で助成金も
                                                    NPO法人地中熱利用促進協会理事長 笹田政克氏

ts-110529-1.jpg横浜企業経営支援財団(IDEC)は今年度、産学交流サロンで全5回(5/16~10/14)にわたり横浜地中熱研究会を開催する。地中熱は国のエネルギー政策が大きく転換するなかで、新たな再生可能エネルギーとして注目され、政府のエネルギー基本計画の中に昨年から盛り込まれるなど、その普及が確実視されている。同研究会のプランニングに深くかかわり、講師を務めた笹田政克氏(NPO法人地中熱利用促進協会理事長)に研究会の狙いについて聞いた。

■製品開発はこれから
「地中熱は再生可能エネルギーのなかで非常に将来性がある。しかし、これまでほとんど普及していないので製品開発や市場開拓が遅れている」と笹田氏は指摘する。いわば巨大なマーケットが未開のまま眠っているわけであり、そこには多くのビジネスチャンスが隠されている。研究会では、①地中熱とはなにか、②どのような設備と設計が必要か、③設置と配管はどうするか、④経済性について、⑤実際の現場見学…などをテーマにセミナーを開き、全5回で地中熱の基本的な知識を体系的に得られるようにする。

地中熱利用は技術的に確立しているが、設備や施工開発はまだこれから。このため「モノづくりに関連する市内の中小企業にとって、自社の技術を活かせるまたとない機会」とする。対象となる分野もセンサー、板金、金型などさまざまで、「たとえば設備の中心となるのはヒートポンプ。その要素を分析し、コンプレッサー、熱交換器、膨張弁など不可欠な部分に自社が得意とする技術をあてはめてみる。」と語る。

また設備設計や施工にも大きな需要を見込むことができる。地中熱を取り出すには、不凍液を循環させるポリエチレン製のパイプを地中深く埋設しなければならないが、地盤には固いものから崩れやすいものもある。従来のようにベントナイト(潤滑性粘土)を利用する掘削では効率よく地中熱を取り出せないケースもある。そこで新たな掘削法も開発の余地がある。一方、埋設したパイプは取り出すことができないので、接続部分の水漏れや、流れを妨げるような不具合を生じてはならならず、施工法を含めてここにも注目できる。

■企業の交流が活発
では、地中熱に今後どの程度の需要を見込めるのだろうか。同氏は熱需要の多い病院、老人ホーム、屋内プール、工場など省エネ効果の大きい建物を最初にあげる。また一般住宅でも給湯と冷暖房を賄うことも可能だとする。一度パイプを地中に埋め込んでしまえば長期にわたり地中熱を取り出せることから、「土地の資産価値を高めることにもなる」という。

カギを握るのが経済性だが、これまで普及していないことから設備にまだ割高感がある。規模によるものの一般住宅で設置に300~500万円かかるとされる。暖房費の負担が大きい北海道で投資資金を5年で回収した老人ホームもあるというが、一般的にペイラインは10~20年と考えられている。

本格的に取り組むには設備機器から設計施工に至るまで、最新の情報と関連企業、大学とのパイプ作りが不可欠となる。一番の近道は同協会の会員となり分野ごとに設けられたワーキンググループに参加することだ。「会員同士の交流が活発でビジネスチャンに結びつけやすい」という。会員企業は現在125社、個人会員41名、賛助会員53名。ちなみに会員企業はこの1年で28社増加している。興味があれば、まず横浜地中熱研究会に参加してみたい。
                    (取材2011年5月19日)
NPO法人地中熱利用促進協会:http://www.geohpaj.org/
財団法人横浜企業経営支援財団:http://www.idec.or.jp/

 
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