2011/05/07 土曜日 10:57:40 JST |
震災の影響から工場を守れ
調達、操業、BCPの相談して!
前回に引き続き、横浜企業経営支援財団(IDEC)の技術相談事業の23年度計画をレポートする。新年度はこれまでの10分野に加えて、東日本大震災で市内企業の多くに影響が出たことを受け、技術相談に震災対策を特別枠として設けた。また、より相談しやすい態勢も取った。
■震災特別枠の技術相談
東日本大震災はガソリンの欠乏や計画停電など、市内企業のみならず市民生活に多大な影響を与えた。電力の回復と被災地の復興が進んでいるものの、企業には多くの課題を残したままだ。「震災によって製品材料の調達が困難となったが、代替品をどう探せばいいのか」、「節電や電力の使用制限に工場の操業をいかに対応させればいいのか」、「事業継続計画(BCP)を作成したいが、どうすればいいのか」…など、緊急を要する経営課題が山積みしている。またその一方で、新たに防災製品の開発をしたい、既存の防災製品や技術に改良を加えたい…など、ピンチをチャンスととらえ、新製品開発など今後のビジネスに活かしたい企業もある。
こうした中小企業のニーズに応えようと、IDECは今年度の技術相談に「震災対策特別枠」を設けた。対象となる相談内容は3つ。①材料、資材、部品の代替品の技術的検討と、震災の影響による被害対策。②事業継続計画(BCP)作成。③防災製品・技術の開発。このうち材料、資材、部品の代替品については、既存の製品を代替品で製造するさい機械加工に問題はないか、既存製品と性能、価格、重量にするために何を選べばいいのか。また製品の設計、評価方法はどうすればいいのか…、などを専門家に相談できる。
震災の影響による被害対策は、工場の操業対策も含まれる。節電であれば夜間電力の使用を主体とする生産計画の方法。暫定生産ラインの調整と保守の方法なども対象としている。相談費用は無料。対象は市内の中小企業。回数は従来の技術相談枠とは別に年5回まで利用できる。
■得意分野を具体的に示す
一方、技術相談はより相談しやすい態勢を取る。なかでも専門家集団の技術アドバイザーのプロフィールで得意分野をさらにわかりやすく示す。たとえば、化学・樹脂分野では「MSDS、エンプラ樹脂、真空成形、各種接着剤、アルカリ電解水、樹脂被覆材、CFRP、水性塗料、油性塗料」などこれまでより具体的な用語で表示し企業に相談のキーワードを捜しやすくする。
さらに、技術相談には経営支援的な視点を加えたいという。「これまでは相談にピンポイントで応えて終わりがちだった。相談過程で見えてきた新課題もこれとあわせてアドバイスするようにしたい」(テクニカル・アソシエイト栗原雄毅氏)という。
22年度の相談件数は324件で前年を下回り、景気や震災の影響を受けやや低調で推移。23年度は態勢の見直しと特別枠の設置で年度間450件を目標に邁進する。
(取材2011年5月13日)
横浜企業経営支援財団の技術相談事業:http://www.idec.or.jp/gijutsu/
関連記事:http://www.hamabiz.jp/content/view/2410/32/
http://www.hamabiz.jp/content/view/2047/32/
|