2010/10/01 金曜日 11:01:42 JST |
CSRが企業の価値を下支えする
毎朝15分の清掃が会社の顔に
■無形の大きな資産
映像・音響機器のレンタル、販売を手掛けるシグマ映像(磯子区磯子)は毎朝15分、会社とその周辺を清掃する。これまでも地元で祭事がおこなわれると、寄付や機材の貸し出しなどを行ってきたが、昨年からよりいっそう力を入れようと、全社をあげて地域貢献に取り組みだした。
取締役管理統括部長の矢沢敬之氏は「CSRによる企業価値を創りたい」と語る。同氏はトップに働きかけ、2010年には横浜型地域貢献企業の認証も取得した。「企業を下支えするのは社員共通の価値観。認証されて会社のステータスともなった」とする。企業の価値は、売り上げ規模や、従業員数だけで決まるのではなく、社会からどう評価されているか、ということも大きな条件となる。
企業の社会貢献に社員が誇りを持てば、それは社内の意識を変え、顧客への対応にも表れ、結果的に業績にそれは反映される。
■本社移転を契機に取り組む
取り組んだきっかけは本社の移転だった。09年12月に、戸部(西区)から磯子に引っ越し、社員の気持が改まったのを好機ととらえ実行に移した。同社は映像・機材のレンタルなどを扱う企業として市内で唯一。今年で創業21年目を迎える。それだけに地元への思い入れは強い。
移転当時は「どんな会社が引っ越してくるのか」と地元住民に不安視されたが、毎朝おこなう清掃活動で社員と接する機会も増えた。「遊歩道に面しているので落ち葉が多く、いまでは掃除をしていると感謝の言葉もかけられる。いわば地元に対するひとつの顔になった」という。
また、社内の意識も少しずつ変わりつつあるようだ。「全社的な取り組みとしてスタートしたが、最初はやや否定的な考えを持つ社員もいたようです。しかし、地域貢献の重要性を理解すると考え方が変わってきました」と語る。
■育休の復職支援
一方、同社は子育て支援にも力を入れる。ことに女性社員に対しては育児休暇を推奨し、復職しやすくするための支援プログラムも組む。
また、環境面では「チームマイナス6%」のチーム員宣言をおこない、電力消費量を削減するため照明のLED化を推進。今後はソーラーパネル設置も計画する。
「できる範囲で」と前置きしながらも、同氏は「清掃の範囲を拡大し、事業内容を活かした地域貢献を考えたい」とする。
本社屋の建物はもともと自動車メーカーのショールームだったため、1階フロアに広い空間がある。そこを利用して、たとえば同社の最新器材を展示し、営業に役立てるだけでなく、地元住民向けにCDコンサートやDVDの鑑賞会なども開けないか、といったアイデアもある。
社会貢献が企業価値を高め、その評価が社員の意識も高めるというプラスの連鎖が同社では始まっているようだ。
(取材協力:横浜市/横浜企業経営支援財団/他)
㈱シグマ映像:http://www.sigma-web.co.jp/index.html
(横浜型地域貢献企業認定)
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