2010/07/04 日曜日 14:59:10 JST |
地域に密着し製造業をIT支援
クラウドコンピュータで底上げ
■コンプライアンスで活性化
CSRを経営の軸に取り込み、地域の中小企業をITで支援しようと計画するのが、システム開発を行うタスクフォース(港北区新横浜)だ。平成元年に創業し、これまで大手企業を顧客として業績を伸ばしてきた。「設立から20年経つと業務をはじめとして、さまざまな面でマンネリ化が目立つようになる。そこで、新分野へのチャレンジを含め社内を改めて見直そうと思った」と岩谷武博社長は動機を語る。最初に手掛けたのがISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)の導入。文書の流れをシステム化することで資料や情報管理の徹底し、業務を"見える化"した。取引先からの要請ではなくCSRの観点からコンプライアンスを重要視したのだ。さらに今年度からは市内の中小製造業を支援するため、業務の効率化ニーズを探ることを始めた。
■遅れる中小企業のIT化
「資本力のある大手企業はIT投資でどんどん業務を省力化、効率化している。しかし、中小企業は情報系の専任担当者さえ置けないのが実状だ。これでは格差が広がるだけでなく地域経済にも影響を与える」と指摘する。IT化を受託する企業側も大手ばかりを顧客とし、予算の組みにくい中小企業はどちらかというと敬遠しがちだ。そこで同社はクラウドコンピュータを利用したIT化で業務を効率化できないかと考えた。自社でサーバーを持つのではなく、地域内の企業が共有すればコストを大幅に削減しながら業務の効率化が図れる。「サーバーさえ管理すれば情報漏えいなどのセキュリティに心配はいらない。これなら中小企業も人を増やすことなく現状のままで効率化できる」とする。当面、これまでの同社のノウハウを投入できることから地域の中堅製造業を対象に考え、そこから小規模企業へとすそ野を広げたいという。「在庫管理、顧客管理、納期管理など大半の製造業は悩みを抱えている。これを解決するには地域に密着し支援できる体勢が必要。地域に根差した企業でなければできない」。
■経営とCSRは両輪
課題はこうした取り組みをどのように市内企業に伝えるかだ。セミナーなどの開催も計画するが、横浜型地域貢献企業として21年度に認定されたことから認定企業同志のネットワーク作りや異業種交流会への参加なども検討したいとする。
同社はこれまでインターンシップで大学生などを受け入れ、またフレックスタイムの導入で社員のライフワークバランスに配慮してきた。そして、いまコンプライアンスの強化を行い、地域に密着した事業で新たなビジネス展開を図ろうとしている。CSRと経営が両輪となって巧みに動いているようだ。
(取材協力:横浜市/横浜企業経営支援財団/他)
㈱タスクフォース:http://www.taskforce.co.jp/
(横浜型地域貢献企業認定)
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