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ユーザ中心設計のすすめ(第56回)―機能安全 プリント
2010/06/24 木曜日 23:43:21 JST

みなさん、「機能安全」という言葉を耳にしたことはありますか。これは、1990年代末に欧州において組み込みシステムの信頼性や安全性を向上させるために策定された国際規格「IEC 61508」のことで、2005年頃から日本国内でも注目されはじめました。機能安全はこの「IEC 61508」をベースとしており欧州規格名称"Functional Safety"をそのまま日本語に直訳した言葉です。

機能安全とは
機能安全とは、センサーやソフトウェアが組み込まれた安全装置を「機能」として製品やシステムに実装することにより、事故というリスクを低減し安全性を確保する技術や考え方です。

判りやすい例
既存の機能安全の事例を挙げてみましょう。鉄道の線路と道路が交差している場所には踏切が設置され、電車が通過する際には遮断機が下がり事故が起こらないよう配慮されています。また踏切内で自動車がエンストした場合でも踏切内のセンサーが感知して、鉄道用信号機が運転士に危険を知らせたり、ATSにより自動ブレーキがかかったりします。これらが「機能安全」です。それに対して、そもそも事故が起こらないように、鉄道の線路と道路を立体交差させるという方法もありますが、これは「機能安全」に対して「本質安全」と言います。

当然、設置する土地や予算があれば市民にとっては「本質安全」である立体交差のほうが良いのですが、すべての踏切を立体交差にすることは現実的ではありません。そこで、センサーやソフトウェアを活用し、絶対的に安全とはいえないが許容できるレベルの安全は確保する「機能安全」の考え方が重要となっている訳です。
ここでは踏切を例に挙げましたが、鉄道以外にもプラント・産業機械・自動車・医療機器・半導体製造装置・ロボットなどの多くの産業分野が、機能安全規格の対象となっているようです。 

企業におけるエコ活動も大切ですが、この「機能安全」も見逃すことの出来ない考え方ではないでしょうか。

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筆者プロフィール
鞆 幾也 (TOMO, Ikuya)
tomo.jpg1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年 株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。

株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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