ユーザ中心設計のすすめ(第55回)―サスティナブルデザイン |
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2010/06/04 金曜日 07:32:30 JST |
最近、サスティナブルデザイン(Sustainable Design)という言葉を耳にしませんか。
「sustainable」は「sustain=維持する、持続する」から来た言葉で「持続可能な」という意味があります。サスティナブルデザインとは、生産された製品が一方的に消費されて廃棄されることのないように、リサイクル可能な素材を使い環境に配慮したデザインのことをいいます。また壊れにくいものや愛着が湧くものは、捨てずにより長期間使うことができますが、このような製品もサスティナブルデザインと言えるでしょう。
第51回のコラムはエコロジーデザインでした。サスティナブルデザインは、エコロジーデザインの短期的局所的な観点よりも、広く長く環境に貢献できるような概念のデザインを指しています。
サスティナブルデザインという概念が重視されている背景には、リサイクルプロセスを持つことなく大量生産を行ない廃棄される消費社会のままでは、近い将来、地球環境が危機的な状況に陥るという現実問題があります。これを解決するためにはサスティナブルデザインによって経済活動と自然環境のバランスが永続的に両立するシステムを構築し、地球環境の再生と消費のサイクルを維持する必要があります。
デザイン活動が消費者の購買意欲を煽り、大量生産大量消費をもたらし、世の中にゴミをいたずらに増やすという悪行にデザイナーが加担しているのではないかという内省の意味からも、サスティナブルデザインはデザイナーにとって賛同されやすい言葉なのかもしれません。
以上のような背景を踏まえて、みなさんもご存知のGマーク賞も、2008年からエコロジーデザイン賞が廃止され、サステナブルデザイン賞が新設されました。ちなみに2009年のグッドデザイン・サステナブルデザイン賞は以下の3製品です。
インテリアファブリック
フェルタ
株式会社川島織物セルコン
http://www.g-mark.org/award/detail.html?id=35299
ビニールハウス
BGH(バンブーグリーンハウス)
京都大学
http://www.g-mark.org/award/detail.html?id=35694
Food packaging
Bio Packaging
Biodegradable Packaging for Environment Co., Ltd.
http://www.g-mark.org/award/detail.html?id=36066
筆者は当コラムを執筆することで、よりよいデザインとは「環境を持続させるデザイン」だということを改めて認識した次第です。
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過去記事一覧(第1回~第54回)
筆者プロフィール
鞆 幾也 (TOMO,
Ikuya)
1988年
金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年
株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes
Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes
DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。
株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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