ユーザ中心設計のすすめ(第53回)―ゲシュタルトの法則 |
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2010/04/28 水曜日 06:20:02 JST |
今回は「ゲシュタルトの法則」についてのお話です。
皆さんがご家庭で使っているテレビのリモコンを一度じっくり観察してみてください。
おそらくたくさんのボタンが付いているタイプのものかと思います。下記は、私が自宅で利用しているテレビのリモコンです。まず、チャンネルを切り替えに使う数字ボタンはボタンの形を揃えることで1つの「まとまり」としてデザインされています。また、下部にあるファンクションボタンは、色付で横一列に並べることで「まとまり」として認識できます。これは、デザイナーが意識してそれらを「まとまり」としてデザインした結果です。ただ何も配慮せずに、同じ色、形、大きさのボタンを等間隔で配置したら、いかに使いにくいかは簡単に想像できます。
人間は、視覚に与えられた図形を最も単純で最も規則的で安定した秩序ある形で認識する傾向があります。これをゲシュタルトの法則といいます。(郡化の法則ともいう)これは心理学者ヴェルトハイマーが唱えた法則で、近くにあるもの(近接の要因)、似ているもの(類同の要因)、囲まれているもの(閉合の要因)、滑らかなつながりを示すもの(良い連続の要因)、規則的な形をしたもの(よい形の要因)、共に運動や変化するもの(共通運命の要因)は「まとまり」として知覚されます。古代人が良く光っている星を「まとまり」としてとらえた星座もこのゲシュタルトの法則といえます。
下記にまとまって見える要因を図で説明します。
こうやって説明されると「ふーん。なるほど」と思いますが、人間は無意識に上記のような知覚を生活の中で行なっているわけです。
デザインの現場では人間(ユーザ)のこうした知覚特性を利用して、わかりやすく、使いやすい製品開発を実践しています。みなさんも、自社製品、会社のホームページ、パンフレットなどでは、ゲシュタルトの原則が有効に使われていますでしょうか。
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過去記事一覧(第1回~第52回)
筆者プロフィール
鞆 幾也 (TOMO,
Ikuya)
1988年
金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年
株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes
Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes
DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。
株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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