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ユーザ中心設計のすすめ(第45回)―オーグメンテッドリアリティ プリント
2009/12/22 火曜日 21:20:03 JST

今回はオーグメンテッドリアリティについてのお話です。

オーグメンテッドリアリティ(augmented reality)とは
あまり耳にされたことのない言葉かと思いますが、ヒューマンインタフェースの世界では盛んに研究されているものです。Augmentは「…を増す, 増大させる」という意味でオーグメンテッドリアリティは「拡張現実」と訳され、省略形としてはARと表記されます。これはバーチャルリアリティの研究から派生した概念で、現実の環境に対して感覚情報を付加して実現するものです。

例えば、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザが自動車のエンジンを見た際に、そのユーザの動きに合わせて、整備箇所の説明や整備方法の手順を映像で提供するといったようなものです。NHKで放映されたアニメ「電脳コイル」は拡張現実に類似したツールが登場して話題になりました。アニメ「ドラゴンボール」で登場する「スカウター」は相手の戦闘力が表示される眼鏡ですがこれも拡張現実といえるでしょう。

オーグメンテッドリアリティの事例紹介

サービスとして実現された代表格としては、iPhone向けアプリ「セカイカメラ」があります。このセカイカメラを起動すると、iPhone内蔵のデジタルカメラが立ち上がりその場所や目の前の対象物(建物・看板など)に関連する文字・画像・音声といった付加情報が画像に重なった状態で映し出されるというものです。このエアタグと呼ばれる付加情報はユーザーが自由に作成し架空の世界に置くことができ、ユーザー間で共有できるというものです。
使い方の例を挙げてみましょう。セカイカメラユーザが居酒屋で料理を食べたとします。ユーザはそのお店のお刺身がとても美味しかったので、「このお店はお刺身がとっても美味しいよ!」という料理写真付のコメントをエアタグとして、お店の入り口に置いておくといった使い方が出来るわけです。このエアタグは、当然裸眼で見ることはできません。同じセカイカメラの入ったiPhoneユーザのみが、そのお店の前に置かれたコメントをカメラを通して読み取ることが出来るというものです。

また店舗サイドからも「本日大安売り!」とか「24時まで営業中!」といった情報提供が可能となるわけです。そういったことからセカイカメラは新しいビジネスモデルの発展に繋がるものとして期待されています。このセカイカメラが普及すれば街中でエアタグが浮かんでいる世界が現実のものとなります。

携帯端末型オーグメンテッドリアリティの仕組み

概念的にはそれほど難しいものではありません。
携帯端末が内蔵するGPSや電子コンパスによって測定されるユーザの位置とカメラの向きデータが通信によりサーバーに送信されます。サーバー側は位置と方向データから情報を検索、端末に送信し画面上に描画するといった仕組みです。

オーグメンテッドリアリティの将来

現実空間とリンクした情報をその場で提供できるオーグメンテッドリアリティは広告だけでなく、医療、メンテナンス、教育、エンターテイメント等、様々な可能性を持っており、これから試行錯誤を繰り返しながら発展していくものと思われます。そこには、新しいサービスのビジネスチャンスが多く隠されていると確信しております。
みなさんも、グッドアイデアがあれば特許申請してみてはいかがでしょうか。

<AR関連サイト>
・セカイカメラ Tonchidot Corporation
http://tonchidot.com/index.html
・電脳フィギュア 芸者東京エンターテインメント株式会社
http://www.geishatokyo.com/index.html
直感検索・ナビ ドコモ 
実空間透視ケータイ au

*本コラムに関するご質問、ご感想や業務のご相談などもお気軽にどうぞ。
       http://www.ueyesdesign.co.jp/contact/index.html
の「業務全般のお問い合せ窓口」よりご連絡ください。
みなさまの声をお待ちしております。
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【お知らせ】
1.電子政府ユーザビリティガイドラインセミナーを実施しております。
     <ご案内サイト> http://www.ueyesdesign.co.jp/ueyes-lc/index.html
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                                                         過去記事一覧(第1回~第44回)
筆者プロフィール
鞆 幾也 (TOMO, Ikuya)
tomo.jpg1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年 株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。

 
 
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