ユーザ中心設計のすすめ(第44回)―ユーザエクスペリエンスデザイン |
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2009/12/10 木曜日 17:50:19 JST |
今回はユーザエクスペリエンスデザインについてのお話です。
ユーザエクスペリエンス(user experience)とは
ユーザエクスペリエンスという言葉はみなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。日本語に訳せば「ユーザー体験」となります。この言葉の意味ですが、ユーザが製品やサービスの購入、利用、所有などの一連の体験を通じて感じることのできる体験のことです。「気持ちよく使えた」、「嬉しかった」、「面白かった」といった、ユーザビリティ(使いやすさ)よりもさらに大きな概念を示すために造られた言葉です。
ユーザエクスペリエンスデザイン
ユーザエクスペリエンスデザインとは、まさにより良いユーザエクスペリエンス(ユーザ体験)を、意図して計画的に設計する開発手法です。簡単に言えば、ユーザにストレスを与えることなく、ニーズに答えることであり、所有して使用する喜びを与える製品やサービスを作るということです。
そのためには
1.誰が何のために使うのか(ユーザと目的の明示)
2.ユーザは何をもとめているのか(ユーザニーズ抽出)
3.何をどのように提供すべきか(製品、サービス企画)
4.製品、サービスの魅力づくり(設計、デザイン)
5.ユーザの期待に応えられるか(検証)
といったプロセスで設計していく必要があります。
良いユーザエクスペリエンスの例
以下は、作り話です。
ある人がデジタルカメラを購入することになりました。まず、お店に行く前に、事前にメーカーのサイトを閲覧して、どのメーカーのどの機種が自分のニーズにあっているか探してみました。すると、A社のサイトは、デジカメの基本操作や各種機能の説明が非常にわかりやすく掲載されていて好印象でしたので、このメーカーのデジカメを購入することにしました。
当初はお店で購入する予定でしたが、このサイトからもネットショッピングで購入できることがわかったので早速購入しました。購入のための入力フォームは非常に判りやすく、スムーズに手続きが完了しました。商品が届いて、早速は箱から取り出して使ってみました。取り扱い説明書も、見やすく判りやすいものとなっていて、戸惑うことなく写真を撮ることができました。
先日、友人達と一緒に旅行に行ってたくさんスナップ写真を撮影しました。その写真をみんなに渡したいと思っていたときに、そのメーカーのサイトに写真共有のサービスがあることを思い出し使ってみました。わざわざプリントしてみんなに郵送する必要がなくとても便利です。
写真撮影にも、慣れ始めたころ、夜景をより美しく撮るにはどうすればよいのか、サポートセンターに電話してみました。殆ど、待たされることなく担当者につながり、判りやすく丁寧に夜景モードの使い方について説明していただきました。
以上ですが、このユーザは上記の一連の体験により、購入したデジカメに対して満足度が非常に高く、またA社に対してもかなり好印象を持つと考えられます。これらは、製品そのもののユーザビリティだけではなく、情報収集から、購入、利用、フォローといった一連のユーザエクスペリエンスをサービスとして意図して設計しているものと言えます。
さて、みなさんの会社のユーザエクスペリエンスはいかがでしょうか。
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過去記事一覧(第1回~第43回)
筆者プロフィール
鞆 幾也
(TOMO, Ikuya)
1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年
株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes
Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes
DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。
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