ユーザ中心設計のすすめ(第43回)―ユビキタスとケータイ |
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2009/11/25 水曜日 21:41:13 JST |
今回はユビキタスとケータイについてのお話です。
ユビキタスとは
前回解説しましたユニバーサルデザインほどではないでしょうが、皆さんも耳にした言葉だと思います。
Wikipediaでは『ユビキタス(Ubiquitous)とは、それが何であるかを意識させず(見えない)、しかも「いつでも、どこでも、だれでも」が恩恵を受けることができるインタフェース、環境、技術のことである。』と説明されています。このユビキタスは元々、ラテン語の宗教用語であり、「神はあまねく存在する」という意味ですが、1991年に米ゼロックス(XEROX)社パロアルト研究所のMark Weiserが論文において「遍在するコンピュータ」という意味で引用したことが始まりとされています。
ユビキタス事例としてケータイがもたらしたもの
ユビキタスの提唱者Mark Weiserが想定していたユビキタスは、「どこでもコンピュータ」であって「どこにでも持っていけるコンピュータ」ではありませんでした。
「どこにでも持っていけるコンピュータ=ケータイ」の登場によって、皆さんの生活は大きく変化しました。
上図はケータイの無かった過去とケータイの恩恵を得ている現在の生活の変化をイラストで示したものです。今の中高生は、ケータイのない生活は想像がつかないでしょうね。私も昔を思い返せば、彼女とのデートの待ち合わせも今のように簡単ではありませんでした。この変化は、通信技術の発達によってケータイによるインターネット接続、メールという新しいコミュニケーションスタイルの定着、端末の小型化、高機能、多機能化によってもたらされました。
ケータイとユーザ中心設計
今やケータイをウェアラブルコンピュータと呼んでも過言ではないでしょう。街や家庭のいたるところにコンピュータを埋め込むよりも、既に普及しているケータイを「どこでもコンピュータ」として利用することは、非常に合理的だと思います。インフラのひとつとしてケータイを持つことで、今まで面倒であったことが自動化されたり、効率的になることはユーザの利便性向上に繋がり、ユーザ中心設計実現のための手段としてケータイは有効なものと言えるでしょう。
「ケータイさえ持っていれば財布やカードもいらない。パスポートなしで気軽に海外旅行に出かけて好きなものを買い、スイスアルプスの美しい動画を日本の友人にリアルタイムで送って見てもらう。」ということが、近い将来現実のものとなるでしょう。
ユビキタス全盛時代を迎えるにあたり、ケータイは大きな役割を果たすことは間違いありません。
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過去記事一覧(第1回~第42回)
筆者プロフィール
鞆 幾也
(TOMO, Ikuya)
1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年
株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes
Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes
DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。
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