2009/11/24 火曜日 07:06:28 JST |
海外研修生の受け入れと防犯活動
信頼できる左官工事こそが社会貢献
■大企業と肩を並べる
中小企業の社会貢献活動は一見すると大企業のような華やかさに欠けているかもしれない。しかし、その取り組む姿勢と理念に大きな違いはない。平成19年度に第一回横浜型地域貢献企業に認定された左官業のサンセイ(鶴見区矢向)の芳垣桂一社長は「仕事を通じて地域社会に何かお返ししたい気持ちは、大企業も中小企業も同じ」と語る。じつは、同氏は認定された時に自分の会社が上場企業と肩を並べていることに驚いた。そこで思ったのはCSR(企業の社会貢献)は規模の大小に関係なく行える活動だということ。
現在、同社は海外からの研修生の受け入れや、地域の防犯活動などに参加する。いずれのも経営の負担にならないよう配慮し、継続することをモットーとする。研修生は3年前からベトナムの若者を受け入れ左官の仕事を教えている。「まだ本国に大きな需要はないが、日本の技術を伝えることで将来の国際交流に少しでも役立てられれば」と芳垣氏はいう。
■小さなことでも役立つ
また、地域防活動は鶴見区防犯協会に加入し、業務用車にパトロールステッカーを取り付ける。「ステッカーの取り付けなど簡単なことかもしれない。しかし、こうした小さなことでも犯罪の抑止に確実につながる」と動機を説明する。そして「安心、安全は地域を選ばない」とも強調し、今後はステッカーの取り付けを他県の同業者グループにも薦める計画だ。
一方、同社の業務用車は軽自動車とハイブリット車。社長自信もアイドリングストップをはじめとしたエコドライブを心がける。これは低炭素社会を考えてのことだが、主要な取引先のゼネコンから仕事を通じて環境への配慮も求められており「環境問題を抜きにしてこれからの仕事は考えづらい」とする。
■積極事業にCSRは不可欠
いま同氏が考えているのは技能の伝承と取引先ニーズへの対応だ。技能は仕事を始めた若者に国の技能検定試験の受検を奨励し、左官の技術をしっかりと身につけることを求める。いうまでもなく同社のほとんどの従業員が検定合格者だ。「きちんとした仕事ができてこそ社会に認められる。安全で間違いのない工事をすることがなにより大切」と指摘する。
取引先へのニーズは左官業だけではなく、はつり(削り取る)工事、防水工事、外壁のコーティング工事なども行える多能工化を検討する。背景には同業他社との差別化もあるが、関連するさまざまな技術を持っていれば一人の施工者でさまざまな仕事をこなせ、工期の短縮にもつなげられる。
同社の得意分野はビルの内壁仕上げだが、建設不況に加えて未曾有の経済危機で昨年から受注量は激減している。これを乗り切るためにも取引先のニーズをくみ上げ、また信頼される工事を行わなければならないと強調し、積極的な事業展開にCSRを原動力のひとつにしている。
(取材協力:横浜市/横浜企業経営支援財団/他)
(株)サンセイ:http://www.s-sansei.co.jp/
(横浜型地域貢献企業認定)
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