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ユーザ中心設計のすすめ(第41回)-ROIのお話 プリント
2009/10/27 火曜日 21:16:21 JST

みなさん、あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、今回はROI(アールオーアイ)のお話です。

<ユーザ中心設計のメリット>
ユーザ中心設計は「モノを作る開発者」「モノを売るお店」「モノを使うユーザ」の3者にとってメリットが生まれると言われています。ではそれぞれどのようなものがあるのか
記述してみました。

モノを作る開発者のメリットは
利用状況やユーザ要求を調査、企画し設計していくため、確実にユーザにマッチした使いやすい商品になります。ユーザニーズを正しく捉えていないことから起こる「手戻り」がなくなることから、開発期間の短縮、開発コスト抑えるというメリットが生まれます。また使いかたに関するユーザからの問い合わせが少なくなり、ヘルプセンターのサポートコストの低減にもつながります。

モノを売るお店のメリットは
商品販売数の増加による利益アップが見込めます。使いやすさから来る新規ユーザの獲得、リピートユーザの維持によりシェアの拡大も期待できます。企業の営業部、販売部の方もこのメリットを享受できます。

モノを使うユーザのメリットは
使いやすさ、学習しやすさから、利便性や満足感が得られます。仕事で使う製品やシステムの場合は作業効率や生産性の向上につながります。また使いにくさから起こるストレスから開放されます。

<ユーザ中心設計でいくら儲かるか?>
「ユーザ中心設計のメリットは判ったが、それを実施していくら儲かるの?」
ユーザ中心設計開発支援を行なっておりますと、よくこのような質問を受けます。
これは、ユーザ中心設計の計画書と見積書を提示した際によく聞かれる質問で、この質問に対する回答が明確でないと、担当者は予算を握っている部長を説得できないこととなり、プロジェクトがスタートしません。
ユーザ中心設計を行なうには、短期的に開発費が増加します。その増加分に見合っただけの利益が確保されないと、プロジェクトは失敗ということになります。

<メリットをROIで考えてみる>

ROIとは Return on Investment の略で、投資利益率と訳されます。
これは投資がどれだけの利益を生んでいるのかを測る際に使われる指標で、費用対効果と訳される場合もあります。基本的な式は次のとおりです。

ROI=利益/投資×100

ROIが大きいほど収益性に優れた投資案件と言えます。たとえば、ECサイトの改善を行うため100万の投資をしたとします。改善後、1年間で150万の利益を上げれば、ROIは150%ということになります。
このようなECサイト改善プロジェクトのような例は、ユーザ中心設計のメリットがROIを利用して説明しやすいものと言えます。例えば、サイトを判りやすく、使いやすくすることによる購買者増加による売上増の目標金額が想定できます。使いかたが判りやすくなることによりメールや電話での問い合わせが減少しますので、担当者の時給換算でコスト削減額として明確に表すことができます。
ユーザ中心設計を実施し、1年間の運用を行なうと、実施前のROI、実施後のROIを比較することで、サイトの改善の効果(いくら儲かるか)がはっきりと見えてきます。

ROIの考え方を導入しづらいものもあります。携帯電話やデジカメなどは、実施前と実施後のROIの比較が難しいものです。これらの商品が売れるのは、単に使いやすさだけではなく、販売戦略が当たった、CMや広告が評判になって売れたといったことも良くあることです。しかし、そこであきらめるのではなく、関係者が集まって、ユーザアンケートを実施するなどして、それぞれの貢献度を明確化する努力が必要と考えます。
そういった活動を継続することで、ユーザ中心設計効果による成功事例が増え、そこから社内でのユーザ中心設計に対する理解や啓蒙が進み、またノウハウも蓄積されるものと考えます。

みなさんもROIで上長を説得してみてはいかがでしょうか。

*本コラムに関するご質問、ご感想や業務のご相談などもお気軽にどうぞ。
       http://www.ueyesdesign.co.jp/contact/index.html
の「業務全般のお問い合せ窓口」よりご連絡ください。
みなさまの声をお待ちしております。
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【お知らせ】
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                                                         過去記事一覧(第1回~第40回)
筆者プロフィール
鞆 幾也 (TOMO, Ikuya)
tomo.jpg1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年 株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。
 
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