2009/10/19 月曜日 07:24:19 JST |
企業が活用する大学のグリーンな"知"
食と次世代エネルギーの可能性
(財)横浜企業経営支援財団
■独創的な技術開発を狙う
大学に眠る知財を環境ビジネスに活かそうと、これまでにない情報ネットワークが構築されている。横浜企業経営支援財団(IDEC)が進める広域的産学連携支援システムだ。大学の持つノウハウを市内企業11万社に紹介し、独創的な技術開発や新製品の創出を狙う。
現在連携している大学は国内外合わせて22校。市内9大学(神奈川大、関東学院大、慶応義塾大、鶴見大、桐蔭横浜大、東京工業大、東京都市大、横浜国立大、横浜市立大)に、市外12大学(東海大、早稲田大、同志社大、関西大、関西学院大、立命館大、山口大、高知大、広島大、鹿児島大、岩手大、金沢大)が加わる。さらに、海外ではタイのモンクット王ラカバン工科大学も連携先だ。
■連携先を専門家が仲介
産学連携支援事業は10年間にわたり市内の大学を中心に行ってきた。その対象を平成20年度から全国に広げた。特徴はこれまでなかった農学と薬学の分野を加えたことだ。しかも、大学と企業とのマッチングを22名のリエゾンプロデューサーが自ら行うことで、より中小企業にも利用しやすい仕組みとなっている。
リエゾンとは「有機的な結びつき」という意味で、さまざまな分野で専門知識を持つひとたちが大学、企業双方のニーズをくみ上げベストの相手を見つけるのである。人脈のない企業が単独で新規に大学の研究室を探すのは時間も労力もかかる。しかし、そこに専門家が仲介すれば短時間で連携先を見つけやすくなる。
■関心高い環境分野
いま注力している分野が"食"と"エネルギー"だ。ともに地球温暖化対策では資源の確保として大きな役割を担う重要な分野といえる。そこで"産学交流サロン"(大学や企業の研究発表会)を開き、今年度から都市型農工連携、次世代エネルギー、グリーンテクノロジーなどをテーマとして取り上げている。
これまで開かれた交流会のテーマは、トレーサビリティと食の安全、バイオマス用途の超好熱菌の研究、砂漠緑化産業の将来性、太陽光発電普及のための課題などだ。ことに都市型農工連携と次世代エネルギーは企業や大学別に月1~2回のペースでサロンを開き積極的に力を入れる。
■農工連携に異業種が関心
経営支援部次長で産学連携課課長の長谷部亮氏は「各テーマとも予想以上にさまざまな業種の企業が参加する。農工連携では食品関係だけでなく機械、IT、エネルギー分野などの企業が熱心に聞き入った」とその関心の高さを指摘する。
また産学連携支援でもうひとつの特徴となっているのが横浜産学連携サテライトだ。連携大学が横浜での活動拠点として使えるよう設けられた専用のスペースで、TV会議室、執務デスク、交流スペースなどが整っている。高知大学はこの設備を利用して定例のTV会議を行い産学連携の成果をあげている。
10月23日には「グリーン志向のものづくり」として慶応義塾大学のサロンを開催。また10月30日には植物工場について企業による発表が予定されている。IDECの広域産学連携支援からさまざまな技術が生まれ新たな未来を創出しそうだ。
(財)横浜企業経営支援財団:http://www.idec.or.jp/
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