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ユーザ中心設計のすすめ(第40回)―NEMはいかがでしょうか プリント
2009/10/15 木曜日 09:36:32 JST

<操作時間に着目>

みなさん、ご家庭で家電製品を操作する際に、思うようにならずイライラすることはありませんか。このストレスは、使い方が判りにくい(ユーザインタフェースが悪い)ことが原因で目的までの操作時間が多くかかってしまうことにより発生します。
しかし、その製品の設計者が操作をした場合はどうでしょうか。当然、自分で設計したものですからストレスなくスムーズに操作できますよね。

<NEMとは>
このユーザ(初心者=Novice)と設計者(Expert)の操作時間を比較して、その倍率の大きい部分を問題点として抽出するやり方がNEM(Novice Expert ratio Method)です。これはソフトウェアやシステムの問題点を客観的かつ定量的に示すことができる評価手法であり、ユーザビリティを検証する現場において多く利用されています。    ui-40-1s.gif
操作時間の測定データは上記のようなグラフで示されます。こでのポイントは、設計者はスピーディに操作できたのにユーザは時間がかかっている部分を問題点としている所です。ユーザと設計者のどちらも時間がかかっている部分は問題点とはしません。たとえば、ECサイトで商品を購入する操作において、送り先の自分の住所を入力する際はユーザもサイト設計者も時間がかかる操作ですよね。

このNEMによって、ユーザビリティの専門家でなくても、操作ステップの倍率が高い部分(問題点)をグラフから簡単に効率良く発見することができます。これはまさに「問題点の見える化」と言えるでしょう。

<応用例として>
このNEMはソフトウェア以外のものにも応用可能です。たとえば、取り扱い説明書においては、目的のページへたどり着くまでの時間を計測し、見出しや目次等のユーザビリティ上の問題点発見に使えますし、市役所においては、市民が目的の窓口を捜し、さらに届出書類に記入して、それを窓口へ提出するまでの時間を計測すれば、施設内の案内板の判りやすさ、届出書類の記入のしやすさ、記入例の判りやすさに関する問題点発見に利用できます。
このNEMは、前回ご紹介しました「電子政府ユーザビリティガイドライン」の中にも、有効なユーザビリティ評価手法のひとつとして紹介されています。

みなさんの会社の商品やサービスを操作時間という切り口で検証してみてはいかがでしょうか。

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                                                         過去記事一覧(第1回~第39回)
筆者プロフィール
鞆 幾也 (TOMO, Ikuya)
tomo.jpg1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年 株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。


 
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