ユーザ中心設計のすすめ(第37回)―ペーパープロトタイピング |
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2009/08/25 火曜日 10:10:47 JST |
さて今回は「ペーパープロトタイピング」についての解説です。
みなさん「ペーパープロトタイピング」という言葉をご存知でしょうか。初耳の方でも何となくイメージできるかと思いますが、これはまさに「紙」を利用して、ソフトウェアやWEBページなどの試作を行なうための手法です。
そのやり方ですが、紙、付箋紙、テープ、ハサミ、各種筆記用具等を活用して対象としているシステムのユーザインタフェースを紙芝居のコマとして作り上げます。
図1:「ペーパープロトタイピング」に必要な材料や道具
では事例として簡単に「ペーパープロトタイピング」を作ってみましょう。
皆さんが居酒屋に行かれたときに、タッチパネル式の電子メニューを使われたことはありませんか。テーブルに置いてある端末の画面に表示されているメニューから、料理やビールの注文が出来るというものです。この「電子メニュー」を題材に作成してみました。(図2)
端末の画面はおおよそA4サイズと近いものなので、A4のコピー用紙を画面と見立てて作成していきます。下記のように、紙、ペン、付箋等を利用してスピーディに検討します。付箋は簡単に張替えられるのでボタンの位置の変更にもすぐに対応できるといったメリットもあります。また付箋を各色用意しておけば、色でボタンの属性を表現することが可能です。(下図では、ピンクはメニューの内容そのもの、水色はメニューのカテゴリーとなっている)
図2:居酒屋電子メニューのペーパープロトタイピング
またペーパープロトタイピングを利用すれば簡易なユーザビリティテストが可能です。まず対象となるシステムの確認したい操作をタスクとしてあらかじめ用意しておきます。それから、開発に携わっていない経理部などの方にテストの被験者をお願いするとよいでしょう。
今回の事例では被験者に「ビールを2杯注文してください。」というタスクをお願いしてみました。そうすると被験者は下図のようにビールというボタンを押下します。
図3:ペーパープロトタイピングを操作しているところ
押下すると、実際はポップアップウインドウが出現するのですが、ペーパープロトタイピングでは下図のように別の紙を上に置いて次の操作を促します。
図4:ポップアップウインドウを示す紙を上に置いたところ
被験者がここで「+ボタン」を押すと、表示の部分が「2」に変化したことを口頭で伝えます。このように、遷移する画面を用意しておき、変化する部分は口頭で伝えるといったような簡易なやり方でシステムの「使い勝手」を検証します。
ここで、もし被験者が使えない状況になった場合は、ユーザインタフェースに問題があるということになりますが頭を抱えることはありません。この段階ではなるべく多くの問題点を抽出して改善していくことに価値があるからです。
企画段階で非常に有効なこの「ペーパープロトタイピング」ですが、皆さんもぜひ活用されてはいかがでしょうか。
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過去記事一覧(第1回~第36回)
筆者プロフィール
鞆 幾也
(TOMO, Ikuya)
1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年
株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes
Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes
DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。
株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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