先進企業のCSR(第14回)-(株)片桐エンジニアリング |
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2009/08/18 火曜日 15:21:49 JST |
オンリーワン企業の社会貢献
「まず、広く会社を知ってもう」
■真空技術のプロ集団
企業がCSRに取り組む動機はさまざまだが、そのなかのひとつに社会貢献活動を通して企業の価値を強く社会にアピールしたいということがある。真空技術のプロ集団、片桐エンジニアリング(鶴見区尻手)も積極的な活動で、より多くの人に会社を知ってもらいたいとする。
同社は真空装置の開発や半導体製造装置の製造に高い技術力を誇るオンリーワン企業で、平成20年度には神奈川工業技術開発大賞を受賞し、また市の価値組企業にも認定された。しかし、これらのことは一般にあまり知られてない。そこで、独創的な技術を持つ企業が地元にあることをもっと一般に知ってもらいたいと、CSR活動を開始した。
■CSRはISOを包含
じつは、同社は半導体メーカーや理工系大学などに真空技術を応用した検査機器や製造装置を納めているものの、ISO(国際規格)を認証取得していない。それはISOに代わるマニュアルを自社でまとめているからだ。「確かな技術力と、きちんとした社内マニュアルさえあればビジネスに支障はない」と片桐俊郎社長は説明する。だが「それだけでは十分とは言えない」と注目したのがCSRだった。そこにはISOの理念も含まれており、最も同社の求める姿に近い。「ISOの認証取得も近い将来検討することになるだろう。しかし、その前に企業の社会貢献を実践し、会社を広く知ってもらう」と語る。
■関心を持てば興味がわく
これまでも地域の祭りやスポーツ大会など、地元で開催されるイベントは会社として協賛を惜しまなかった。社長自らも市内の工業高校で真空をテーマにしたセミナーを実施する。この活動を社員一人ひとりの意識として持ちたいという。「いくら優れた技術を持っていても周辺の方々は私たちのことを知らない。しかし会社に関心を持てば興味がわいて、事業内容も知ってもらえる。それがひいてはビジネスにも役立つ」とする。
同社は社員の意識を変えるため、横浜型地域貢献企業の認定を受けた。社員持ちまわりで行う朝礼でも何をすべきかが話題となり、通勤のさいのマナーから日常業務のコンプライアンス(法令順守)までテーマとして取り上げられている。社会貢献活動は緒に就いたばかりだが、認知度が高まるにつれて思わぬビジネス効果も産んでいる。それは取引先の反応だ。たとえば公共性を求める大学は同社の活動を高く評価するようになり、名刺に市の認定企業であることを記すと、相手の注目度も変わったという。
■新規の商談も舞い込む
企業からも同様の好反応を得ている。既存の取引先だけでなく、インターネット経由で舞い込んでくる新規の商談も「CSRがひとつのブランドとなっているのではないか。企業の価値が上がったように思う」とみる。
真空技術が製造や研究開発の分野で省エネ化と省力化を実現していることから、今後は環境面への貢献もアピールしグリーンな企業という側面も強調する。オンリーワン企業にとってCSRはビジネスでも大きな力となっているのだろう。
(取材協力:横浜市/横浜企業経営支援財団/他)
(株)片桐エンジニアリング:http://www.kk-eng.co.jp/
(横浜型地域貢献企業認定)
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