2009/08/13 木曜日 07:28:45 JST |
地方採用で優秀な人材を集める
大学とのパイプづくりが重要
■『雇用創出企業1400社』に選定
人材育成に優れる企業として経済産業省の『雇用創出企業1400社』に選定され、また「2009年版中小企業白書』でインターンシップの事例として紹介されたのがIT企業のソフテムだ。川崎市に本社、福岡市に九州事業所を開設し、システム開発などを行う中堅企業である。同社の特徴は「人材が集まりやすい」こと。
いまでこそ景気の悪化で人材を確保しやすくなったものの、それまでは慢性的な求人難だった。しかし、そんな業界事情と関係なく、同社は過去2年間で社員を56人から100人へと増加させた。いうまでもなくすべて正社員採用で、採用後の退職率も極めて低い。なぜ、このような大量の人材を確保できたのだろうか。常山勝彦社長は「地方採用とインターンシップにある」とその理由を語る。
■求人エリアを広げる
福岡市に事業所を開設するさい地元での求人募集を強化したところ、予想以上に優秀な人材が多数集まった。「各県にはまだまだ優秀な人材が眠っている。求人エリアを広げればそれを集められる」とする。現在は北海道、東北エリアでの求人にも力を入れ、さらにアジアも視野に入れる。実際、昨年から中国(北京)と韓国(大邱)の工科大学で、年間2~3人の採用をめどに募集を開始した。採用試験は直接現地には行かずWebカメラを使って面接し、日本で1カ月の研修を行ったうえで合否を判断する。
一方、インターンシップも効果をあげている。なかでも同社の特徴は、首都圏だけでなく地方の大学にも強いことだ。常山氏は各地の専門学校や大学で開催する企業の就職説明会に参加するだけでなく、それをきっかけに先生や教授と個人的なパイプを作り、インターンシップや就職希望の学生を紹介してもらい獲得している。なかには北海道から交通費や宿泊費を負担してまでインターンシップに参加する学生もいる。これまで最も多い年で25名の学生を受け入れ、今年も15名が職業体験に参加している。
■特徴は委員会活動
人が増えると問題となりがちなのが社員間のコミュニケーションやモラルだ。同社でこれを円滑にしているのが14の「委員会活動」で、その種類も教育委員会から親睦委員会までさまざまで、新人を除き参加は自由だが、誰も何らかの委員会に属している。ことに広報委員会はメルマガを発行し、社員が持ちまわりで書くコラムを毎週掲載する。
また、同社は社員の働きやすい環境づくりで21世紀職業財団の認証を受けており、厚生労働省から補助金も交付されている。同財団は人材多様化時代に対応し、女性が働きやすく、誰もが仕事と生活の両立できる職場づくりを支援する団体だ。
今後は景気動向を見据えながら、中部や関西エリアへの事業所開設を計画し、また海外への事業進出も検討する。事業拡大の要となる人材獲得にノウハウを持つことが大きな力となっているようだ。
ソフテム:http://www.softem.jp
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