ユーザ中心設計のすすめ(第36回)―シナリオ法について |
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2009/08/04 火曜日 09:36:49 JST |
さて今回は最近注目されているシナリオ法についての解説です。
当コラムの第34回にハイブリッドカー「プリウス」のユーザを想定したユーザセグメントの解説をしました。その中の実際にいそうなユーザ像「エコ推進派ユーザ」を例に、ペルソナ化しシナリオを作成してみましょう。
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●「エコ推進派ユーザ」のペルソナ
氏名:清水澄夫
年齢:53歳
職業:大手家電メーカー部長
趣味:ガーデニング、日曜大工、写真撮影
住居:戸建住宅
所有自動車:プリウス
家族構成:
妻 50歳 専業主婦
長女 22歳 会社員
長男 18歳 大学生
の4人家族
清水澄夫さんはエコ活動をまじめに実践しているユーザです。自動車にかかわらず、
家電製品、日用品などもエコ製品の購入に努め、電気、ガスなどのエネルギーも地球環境の保全、改善を目指して人一倍、節約します。エコロジーのためなら、多少金額が高くてもかまわないと思っています。
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●シナリオ(長女が書いた日記風に)
先週末は久しぶりの家族全員そろった温泉旅行でした。お父さんは、旅行の1ヶ月前から、色んな旅行サイトや温泉雑誌などから目的地を検討してたようです。
プリウスユーザのためのドライブ支援会員制サイトにアクセスして、プランを練ったり他の会員と情報交換していたみたい。
またドライブプランを選択していくとサイト上で、旅館の宿泊代や高速料金だけでなく、ルートのガソリン代、CO2の排出量の算出やカーボンオフセットの情報などもあってとっても便利みたい。
エコ推進派の父だけあっていつも環境にやさしいCO2排出量の少ないルートを選んでるんだ。たとえそれが有料道路でも。ナビもそれを学習していてルート検索すると、CO2排出量の少ないものから優先して提示してくれるみたいだし。
ドライブ中はというと、事前に登録してある家族の趣味に関する施設やイベントがルート近くにあれば、ドライブ中におすすめ情報としてレコメンドしてくれるのもグッド。
ガーデニングのとてもきれいな有機野菜レストランに行ったのもレコメンドがあったから。
プリウスは購入してからドライブで使った総ガソリン量や総CO2排出量はドライブメモリーとして記憶されていくみたい。ある日、父親はプリウスから記憶メモリーを取り出して、パソコンに保存していたよ。
なんと、プリウスユーザサイトで自分のエコドライブを自慢してたの。「先週のドライブの燃費はプリウスユーザTOP100に入ってたよ!」なんて威張ってたもん。
あとすごいのは、写真が趣味の父がGPS搭載デジカメの撮影データをユーザサイトの自分専用ページにアップロードするでしょ。そうすると、プリウスのナビ画面に撮影場所を示す写真アイコンが付くんだよ。それをタッチすると、半年前にそこで撮った写真が見れるの。
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といった感じで、ペルソナのドライブシーンやそれにまつわる生活シーンをイメージして小説や日記風に記述します。上記のシナリオのようにペルソナの具体的な利用シーンを想起し記述することによってプリウスの新機能をアイデア展開することも可能ですし、このシナリオに盛り込まれたアイデアについて、実際のプリウスユーザにインタビューして共感度を計ることも可能です。
「これいいね~!あったらぜひとも使ってみたいなあ。」なんて意見が多いものは、積極的に採用すべきですし、「いやーこんな機能はあっても使わないよ!」という意見が多いものは、採用してもほとんど使われないという惨めな結果になってしまいます。
みなさんの会社の商品企画検討にシナリオ法を採用してみてはいかがでしょうか。
*参考サイト:U'eyes Designサービス案内 「シナリオベースドデザイン」 http://www.ueyesdesign.co.jp/service/service_scenario.html
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過去記事一覧(第1回~第35回)
筆者プロフィール
鞆 幾也
(TOMO, Ikuya)
1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年
株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes
Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes
DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。
株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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