先進企業のCSR(第12回)-エコールITかながわ |
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2009/07/28 火曜日 13:40:27 JST |
「エコールITかながわ」募集開始
正社員就職率98%のIT学校が開校
■意欲があれば職業経験を問わない
豊かな発想でコンピューターを自分の思い通りに動かす。そんなクリエイティブな職業に就いてみませんか――。求められるスキルは、インターネットでWeb検索とメールのやり取りができること。理系の素養がなくてもだいじょうぶ、必要なのは相手の話を聞いて自分の考えにまとめ、それを伝達できるコミュニケーション能力だ。
雇用環境の厳しさが依然として続くなか、神奈川県情報サービス産業協会(神情協、会員331社)はこんなキャッチフレーズで就労支援に乗り出した。同協会は8月1日から業界への転職・就職を目的とした「エコールITかながわ」(定員60名)の募集を開始する。
エコールとはフランス語で「学校」のことで、同団体が平成18年から行っているIT業界就職のための無料のIT学校だ。これまで川崎市で行ってきた受講会場を今年から横浜市に移して行う。受講対象者はIT業界で働きたいおおむね20~34歳までの人。学歴、職歴は不問で社会人からニート、フリーターまで幅広く応募することができる。
■途中辞退者を除きほぼ100%が就職
特徴はなんといっても就職率が非常に高いことにある。途中辞退者を除くと受講者のうちじつに9割が就職し、そのうち98%が正社員だ。なぜこれほど高確率なのかというと、それは業界自ら受講生の募集選考と研修を行い、就職先の企業まで広く紹介しているからだ。こうした一貫したシステムは業界にかなりの負担がかかるが、それでもCSRの観点から継続的に実施している。いうまでもなく、このような就労支援策は他の業界で例がない。
■企業実習もある75日の研修期間
今年の「エコールITかながわ」は11月12日の開講をめざし、受講料無料で「組込系ソフトウエアコース(定員25名)」「業務用ソフトウエアコース(同20名)」「システム運用コース(同15名)」の合計60名を募集する。今後のスケジュールは次のとおりだ。
9月2日~10月13日まで、受講生の募集選考を書類審査や面接を含めて行う。開講となる11月12日から「IT入門講座」を30日まで開き、そして12月1日より「コース別研修」をスタートさせる。1月に入ると12、14日に就職を踏まえた企業面談会を実施し、関連する資格取得についてのセミナーも行う。2月15日からは就職を希望する2社で企業実習が始り、3月12日には研修が修了し、遅くとも4月1日までに大半の受講生は就職する。
■将来性を期待できるIT業界
ちなみに、研修は祭日を除く月曜から金曜日の毎日午前9時~午後5時まで行われ「半年で1年分の勉強をする」というほど密度が濃い。宿題も出るためこの間の就業やアルバイトは禁止だ。
就職先としてのIT業界は将来性がある。たとえば組込系ソフトは携帯電話から炊飯器までICチップがあるところ必ず必要な技術で、これなしに日本モノづくりは成立しない。また業務用ソフトウエアは給与計算や商品管理など、社会のシステムを担うソフトとして常に高い社会的なニーズがある。さらにシステム運用は現代のコンピューターのネットワーク化社会を維持管理するために必須の専門職だ。
今後ますます進化するITは、スキルとノウハウさえ身につければ確実にキャリア・アップにつなげられる。不確実性の時代といわれる現代において、IT技術者は生涯をかけるにふさわしい優れた職業選択のひとつだ。これを機会に一度チャレンジしてみてはどうだろうか。
IT入門講座
IT実習
企業面談
(取材協力:社団法人神奈川県情報サービス産業協会/横浜市/他)
エコールITかながわ:http://www.ecole-it-kanagawa.jp/
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