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先進企業のCSR(第11回)―(社)神奈川県保健協会 プリント
2009/07/23 木曜日 09:59:43 JST

検査業務にこそCSRの視点を
貯水槽は震災時の大切な飲料水


■国の認可で1955年に設立
生活のライフラインとして欠かせないのが水の管理だろう。飲料水も生活排水もこれをなくして安全は確保されず、安心した日常生活を送ることができない。この水の管理が適正に行われているかをマンションやビルなどの貯水槽水道や、浄化槽の検査を通して行っているのが、神奈川県保健協会(中区山下町)だ。1955年に国の認可を受けて発足した社団法人で、2009年度に「横浜地域貢献型企業」として認定された。

■社団法人だから求められる
そもそも社団法人といえば公益性の高い団体である。あえてCSRで認定されるというのも珍しい。同協会の渋川範幸常務理事はこれについて「貯水槽水道や浄化槽の検査というのはきわめて公益性が高い。だからこそ、すべての職員に社会貢献という視点が必要」と説明する。じつは、貯水槽水道は容量に応じて法律や条例で検査を義務付けているが、その受検率は100%ではない。
現在、全国に貯水槽水道は100万基程設置されているが、このうち検査を受けているのは容量10?超す貯水槽水道(簡易専用水道)の8割強程度に過ぎないのだ。これ以下の容量になると所管が分かれることから設置数さえ正確に把握されていないという。「検査だけでなく受検率が上がるよう行政とともに貯水槽水道設置者に働きかけることも私たちの仕事。それこそがCSRにつながる」(伊藤喜一郎理事)とする。
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■災害時の貯水量の役割

さらに、この検査業務は防災上でもきわめて重要な役割を担う。たとえば大規模地震が発生した場合、おそらく一部の地域で水道管の破裂や停電などが起きて、水道が利用できなくなるのではないだろうか。こんなとき一時的に罹災者を支えるのが貯水槽に蓄えられた水である。ことに学校など避難場所の飲料水の確保は大切だ。
ところが、少子化にともなう就学者数の減少で、貯水槽内の水が「死に水」にならないよう有効容量を下げざるを得ないため近年学校の貯水槽に蓄える水の量も減っている。このため貯水槽水道設置者はつねに気を配らないと"いざ"というときに支障きたす可能性もある。検査業務は水質を含めてこれを陰で支える役割を果たしているのである。

■"水の専門家"を訴える
一方、同協会はCSRで認定されたことにより営業上のメリットも生まれたという。2004年度から貯水槽水道の検査業務は指定制から登録制に変わり、新規参入する事業者が増加し自由競争の時代に入った。そこで"水の専門家"としてのノウハウをアピールする必要に迫られたが、横浜型地域貢献企業として「地元に密着した検査業務を行う専門家集団ということが訴えやすくなった」とする。
同社には一般に取得困難とされる「水道技術管理者」の資格取得者が6名おり、またISO9001も2004年に認証取得している。これにCSRが加わったため、顧客を重視し、全職員が一体化した経営を行っていることを取引先や貯水槽水道設置者に伝えやすくなったという。いうまでもなく検査業務には技術や実績だけでなく、なにより信頼が大切だ。企業の社会貢献がそこに大きな効果を生んでいるようだ。
(取材協力:横浜市/横浜企業経営支援財団/他)

(社)神奈川県保健協会:http://www.hokenkyokai.or.jp/
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