ユーザ中心設計のすすめ(第32回)―「使いにくさ」の要因 |
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2009/06/06 土曜日 17:08:45 JST |
今回のテーマは 「使いにくさ」です。みなさんの身の回りに「使いにくい」ものはありませんか。その「使いにくい」要因は何でしょう。それを解説していきましょう。
結論を先に言いますと、「使いにくさ」は設計者とユーザのモデルのギャップにあると言われています。
ここでいう設計者とはその製品を設計するエンジニアやデザイナーのことを指します。
ユーザはその製品を購入し、まさに使おうとしている利用者を指しています。設計者は「こういう設計にすればユーザは簡単に操作できるだろうなあ。」という思いで設計するのですが、ユーザの立場で言えば「自分はこういう風に使いたい。」という思いがあります。ここで、設計者の思いとユーザの思いが一致すれば、これはすばらしく使いやすいものになります。逆に、それぞれの思いが一致しない場合は「使いにくい!」ということになります。
上記の関係を簡単に示した図がこちらです。
これは、米国の認知心理学者であるD. A. Norman氏が描いた有名な図です。
上記のデザイナー(設計者)の上にある雲のような形状のものがデザイナーの思い(デザインモデル)です。同じように、ユーザの上にあるのがユーザの思い(ユーザモデル)です。このそれぞれのモデルの不一致が、「使いにくさ」の要因なのです。
前回のコラムで「ユーザを知ることの大切さ」をお伝えしました。「ユーザを知ること」はつまり、デザイナーはシステムを設計する前に、ユーザモデルを把握することなのです。
みなさんも、ついつい自分の思いだけに頼って設計していることはないでしょうか。今一度、真摯な態度で「ユーザを知る」ことに注力してみてはいかがでしょうか。
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過去記事一覧(第1回~第31回)
筆者プロフィール
鞆 幾也
(TOMO, Ikuya)
1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年
株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes
Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes
DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。
株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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