ユーザ中心設計のすすめ(第30回)― 「ユーザビリティ」の定義 |
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2009/05/08 金曜日 07:08:03 JST |
今回のテーマは 「ユーザビリティ」 という用語の解説です。皆さんはいろんな場面でこの「ユーザビリティ」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。ただ、言葉の意味を問われると少し曖昧な回答にならないでしょうか。いまさらではありますが、この言葉の解説をしたいと思います。
さて、言葉の語源ですがuse+ableから来ており「使えること」が元々の意味だそうです。この「ユーザビリティ」ですが日本語では「使い勝手」「使いやすさ」「使用性」「利用品質」などと訳されています。「利用品質」は比較的新しい言葉で、メーカー内では「使い勝手は品質 (quality) である」という解釈から品質保証の分野で使われます。
ISOにおいて「ユーザビリティ」は9241-11で定義されています。そこでは「ユーザビリティ」は「特定の利用状況において、特定のユーザによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザの満足度の度合い」とあります。
有効さ、効率、満足度はそれぞれ下記のように説明されています。
有効さ (Effectiveness): ユーザが指定された目標を達成する上での正確さ、完全性。
効率 (Efficiency): ユーザが目標を達成する際に、正確さと完全性に費やした資源。
満足度 (Satisfaction): 製品を使用する際の、不快感のなさ、および肯定的な態度。
上記の有効さ、効率、満足度をシナリオ風に判りやすくしてみました。
有効さ (Effectiveness):
「なんとか間違いなく、ネットで本を3冊購入することができたな。明日は休日なので久々の読書三昧だぁ~。」
ユーザにとってこのサイトは有効でした。
効率 (Efficiency):
「来月の出張で利用するホテルの予約だけど意外に簡単でスピーディにできたなあ。終電に間に合いそうでよかったあ。」
ユーザにとってこのサイトは有効で、かつ効率がよいものでした。
満足度 (Satisfaction):
「なんかこのショッピングサイト使い勝手いいのよね。見てるだけでも楽しいし、ついついたくさん注文しちゃいそう。」
ユーザにとってこのサイトは有効かつ効率的で、満足度も高いものでした。
さて、「ユーザビリティ」の定義が理解できたならば、御社の製品やサービスの「ユーザビリティ」について社内で議論されてはいかがでしょうか。
以下は参考サイトです。
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ユーザビリティ
参考:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3
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過去記事一覧(第1回~第29回)
筆者プロフィール
鞆 幾也
(TOMO, Ikuya)
1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年
株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes
Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes
DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。
株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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