2009/01/18 日曜日 16:55:50 JST |
バイオ研究と企業を結びつける
横浜・神奈川バイオビジネス・ネットワーク
■国が支援するバイオビジネス
21世紀最大の産業といわれ、世界中がいま研究開発にしのぎを削っているのがバイオテクノロジーだ。生物が本来持っている性質や特性を医療や環境等さまざまな分野で技術として応用するのである。
バイオ産業の育成は各国とも国家戦略として位置づけており、日本もその例外ではない。(財)木原記念横浜生命科学振興財団が事務局となる「横浜・神奈川バイオビジネス・ネットワーク」はその一環として2005年に発足した。経済産業省が進める産業クラスター計画のひとつである「首都圏バイオネットワーク」の一翼を担っている。横浜・神奈川を中心とした地域内の大学、研究機関、企業を結びつけてバイオビジネスを活性化するのが狙いだ。
現在、横浜・神奈川バイオビジネス・ネットワークの会員数は、企業・団体の法人会員が224、大学関係者など個人会員が100となっている。設立以来、毎年着実に増え続けており、今や会員の約3割が都内を始めとした県外企業が占め、ネットワークが広域化している。財団の中村克己事業企画部長はこれについて「横浜を中心とする神奈川地域はバイオ関連の研究をする大学や研究機関、関連企業などが集積しており、県内の自治体による産学連携やベンチャー企業支援策の効果もあり会員が増えやすい。」(写真左)と説明する。
だが、ネットワークが広がる理由はそれだけではない。財団が、シーズの掘り起こしから事業化に至るまで手厚く支援しているのだ。
■着実な事業化アクション
たとえば、ネットワークにはバイオベンチャーの営業支援を目的とするバイオベンチャーアライアンス(BVA)という、会員企業と財団が連携して販路開拓を進める仕組みがある。また研究開発支援を目的として、大学や公的研究機関などが産業化可能な技術について発表するシーズ発表会を実施している。これまでに延べ30大学52人もの研究者が研究成果を発表してきた。さらに、バイオ分野に詳しい専門家のアドバイスの下で、産学による事業化ワーキング会を持ち、事業化への課題の検討、国などからの補助金獲得へ向けた支援活動も行っており、実際に億単位の研究資金を複数件獲得している。
このほか日本で最大級のバイオ専門展示会「バイオジャパン」への出展支援や、会員同士の商談促進、次世代医療機器の開発を目指すプロジェクトなども行っている。「バイオ関連の技術はビジネスまでに時間がかかり、個々の企業や研究機関ではできないことも多い。しかし、ネットワークを利用すれば着実に事業化を目指していける。ネットワークが拡大しているのも、これまでの地道な活動が評価されたためと自負している。」(若林和彦事務局長・写真右)とそのメリットを語る。
■「販路開拓を積極的に行いたい」
バイオビジネスは多岐にわたっており、医薬品、機能性食品、バイオマス、化粧品などさまざまだ。現在、ネットワークで手がける開発案件には、容易に身体の若さを調べる方法や、がん等の疾病を早期に把握・診断できるシステムなどがあり、今後も事業化を目指した案件の着実な支援を目標に置いている。
ビジネス支援を担うBVAは、一層その重要性を増し、その機能を高める方針だ。「事務局が会員と一緒になって営業マンになる」を基本として、バイオベンチャーと大手企業とのビジネス案件の開拓を図り、バイオベンチャーの事業化支援を強力に行いたいという。
バイオビジネスが必要とする技術はさまざまであり、直面するビジネス環境も厳しい。バイオ分野での積極的なビジネス展開に興味があるようなら、定期的に開かれているシーズ発表会、シンポジウムへの参加やBVAへの加入を考えてみてもいいだろう。そこに新たなビジネスチャンスの広がりを見つけることができるかもしれない。
横浜・神奈川バイオビジネス・ネットワーク
事務局:(財)木原記念横浜生命科学振興財団
URL:http://yk-bio.net
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