インタビュー:湘南技術センター㈱ 原田宏一社長

2009/01/08 木曜日 10:05:57 JST

人材教育の要は「素直な心と、謙虚な心」 ＣＡＤ技術の応用で試作不要のシステム開発 ■スキルだけでは通用しない！ 家電製品から医療器具に至るまで、さまざまな工業製品で必ずといってもいいほど必要とされているのが「真空」に関連した技術だ。たとえば、半導体やコンタクトレンズの製造に「薄膜」は必要不可欠だが、これも真空なくして活用できない。この真空関連装置の設計や制作にオンリーワンの技術を誇り、また同時に優れた人材教育で技術者をはじめとしたオフィスパーソンの就労支援を行っているのが湘南技術センターである。 人材教育について、社長の原田宏一氏はこう指摘する。「これまでの企業はスキルさえあれば受け入れてくれた。しかし、今はスキルだけでは通用しない。その人の仕事への意欲や人間性に強い関心を持つようになっている。」 ■ジョブカードにも参加 同社は人材教育のモットーに「思いやりの心、素直な心と、謙虚な心、感謝の心を持つこと」を掲げている。与えられた仕事をただ義務的にやるのではなく「つねに周囲の人の言葉に耳を傾け、ひとりの人間として仕事に携る」ことを大切しているのだ。たとえば、それが取引先との関係なら「相手に迷惑をかけない、つねに努力を心がける」といった人としての原理原則を実践し、同時に仕事ができることに感謝の心を持てば、自ずと顧客のニーズを?むことができる、と語る。 同社では従来より職種転換として、委託訓練校等々教育活動事業に取組んでいたが、その流れから今回も厚生労働省の実施する「ジョブカード制度（有期実習型訓練）」の受託企業になり、テレビにも取り上げられた。この制度は試用期間（３ヶ月間）雇用し、おもにニート・フリーター、子育てが終わった主婦などの人たちを対象に就職に必要なＯＪＴ（現場教育）を行い又その後の雇用延長へと繋げる、あるいはそれをジョブカードに記入することで就職に役立ててもらうのが狙いだ。 ■試作せずに不具合を予測する「ナビナス」 高い技術力を誇る真空関連装置の設計は、同社のＣＡＤ技術を大きく飛躍させている。東京工業大学（荻原研究室）との産学連携で、ナビゲーションシステム（ナビナス）の開発を行っているのもそのひとつの例だ。これはＣＡＤ技術とＣＡＥ技術を応用した製造装置の設計、保守、運営の統合的システムである。 一般に機械装置を製品化する際は、物を組んだ時点で不具合を発見するケースが多い。それを設計にフィードバックして製品化している。これに対してナビナスは組まずとも、パソコンの画面上で実際に動かすとどのような不具合が起きる可能性があるのか、事前に予測できるシステムだ。実用化されれば、工業製品を開発する時のコストを大幅に削減できるばかりではく、製品化までの時間も短縮することが可能となる。 また、湘南工科大学（和田研究室）との産学連携で、誰もがユニバーサルカヌーを通じて（子供から大人迄、障害者や高齢者も）自然と親しみ一緒に楽しめるカヌーの開発をしている。 ■「特定派遣」と「登録型一般派遣」 ところで昨年秋以降、世界的な金融不安に端を発して日本の雇用環境が激変してしまった。同社は本社の技術部門と連携し、その中の一つに技術者の派遣事業も行なっている。しかし、そんななか同社が心を痛めているのがマスコミ各社の「派遣労働者」に対する報道だ。 ■人材教育は"人づくり" マスコミ各社は契約を打ち切ることを"派遣切り"などと取り上げ、派遣制度そのものを否定的に報道しているが、良し悪しはともかくそのお陰で日本経済、大企業の発展があったとも考えられる。 そもそも派遣制度は日本経済の成長に必要だからこそ生まれたものであると原田氏は語る。"派遣切り"と報道することで、業界そのものの不信感が広がることに疑問を感じているのだ。本来なら、雇用不安のある今こそ派遣の任って来た意義と有り様にスポットライトを当てて存在価値ある企業に求められる人材教育を"人づくり"から考える事が大切と思われる。 「派遣社員を切るのではなく、賃金を下げて雇用する。使う側からなら社長、幹部、社員と各々に応じてカットする事をお願いしたいと」 今、大企業経営者の方々の声も聞こえる中で明日の日本にものづくり技術が継承され本当に明るい国、ひのもとの国となる様に、又そのお手伝いが出来る様にと願っています。との言葉でインタビューは終わった。 湘南技術センター：http://www.shonan-gijyutsuc.co.jp/

 

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